距離 ページ28
私が一通り警察官とのやり取りを話終えると、彼は高らかに笑いながら、回転椅子でグルグルとまわりはじめた
「何が…そんなにおかしいの…」
私がそう聞くと、回転をとめて机にバンと手をついて立ち上がった
その音にビックリして黙り込む私を、彼は気にしようともせず「おもろくなってきた…」と言い、不敵な笑みを浮かべて、目をキラキラと輝かせはじめた
彼の言動や行動は、少なからず私には理解出来ない
いや、少なからずというよりも、全くもって理解出来ない
ただ…何故だろう…
すごく、彼の事をおぞましく私は感じているはずなのに…
なのに…
彼の表情やちょっとした仕草に、私の心の中はざわつき、彼自身…とても綺麗だと感じてしまっている
「先生…？」
近づいてくる彼から視線を外し、自分が持ってきた紙袋を渡した
「これっ…頼まれた…ものです」
彼はそれを受けとると嬉しそうに中身を眺めた
「それ…どうするの？」
「これぇ〜？」
彼は中に入っている分厚い本をとりだした
「ふふっ…枕にしようかなぁ思って」
それをテーブルに置き、笑いながら鼻歌交じりにペラペラとページをめくりはじめた
「それ、今年の新刊で私のです！」
彼が手にしているのは『六法全書』。憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法などの主な法令を収録した書籍
法律は、いろんな事例によって毎年少しずつ変わる
それを彼は知っているのか、たまたまなのか…
私に、1番新しく発行された『六法全書』を持ってきて欲しいと頼んできた
そんな物を刑務所にいる彼に、はたして差し入れ出来るのかと正直戸惑った
すると彼は『大丈夫…ボクには強い味方がおるから♪』と腕を組みながら笑っていた
今日は受付をした際、持ち物検査や差し入れの確認がなかった
『上から聞いてますので…どうぞ…』
上からって…彼の味方って…誰？
彼は開いたページに近づき匂いを嗅ぐと目をとじた
そして「これが地獄の臭いってやつやなぁ…」と呟き目をあけた
彼の口元を眺めると、首すじに赤いアザがある事に気づいた
ゆっくりとその首すじに手を伸ばそうとすると、彼に手首をがっしりと掴まれた
「なにぃ…？」
「そこ…どうしたの…？」
私がそう聞くと少し私に近づき、そして真顔で言葉を発した
「それ…先生に関係ある？ないやろ…」
その後、彼は一言も喋らなかった
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こじゅMAMA(プロフ) - 瀬取ぐりこさん» なかなか更新せずにですみません。お返事も遅くなりました。ゆっくりと読んでいただけたら嬉しいです！ (2020年1月18日 20時) (
レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
瀬取ぐりこ(プロフ) - お話の構成が天才すぎて、一気に読んじゃいました！ ２に行ってきます！ (2019年10月13日 15時) (レス) id: bdea2fdbd0 (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - トランスさん» コメントありがとうございます。黒安田私も大好きです。更新遅くなったりしますが、更新頑張っていきますのでよろしくお願いします。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: cfe8eab671 (このIDを非表示/違反報告)
トランス(プロフ) - 黒安田君好きです。カッコいいですよね。更新、楽しみにしてます。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: fad6927b23 (このIDを非表示/違反報告)
∞ぽむりん∞ - お気になさらないで下さい！検討有難うございます！期待しています♪ (2016年1月31日 17時) (レス) id: 6e7478b2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こじゅMAMA
| 作成日時：2013年12月17日 14時
