悪夢 ページ25
あたりを見回しても、彼は何処にもいなかった
腕時計を見てみると、眠りについてからまだ15分もたっていない
そっと自分の唇に手をのばし触れてみる
『先生…何寝てんのん？ボクは0か100かしかを望まへんよ…なぁ…起きてぇ…』
艶やかな顔をした彼の瞳は、吸い込まれそうなくらいにとても綺麗だった
甘い口調で囁く彼の声は、いまだに私の耳の奥底に存在する
『A先生…』
彼に後ろから軽く抱きしめられながら、耳元で囁かれる様な感覚を急に感じ、ゾクっと寒気が全身に走りだしベッドを離れた
気持ちを切り替えるために、私は服を脱ぎシャワーを浴びる事にした
浴室内には湯気が立ちのぼり、気持ちのいい温度のお湯を頭へとかぶる
ゆっくり目を閉じ、髪の毛を洗おうとするとまた耳元で甘ったるい口調で、私の名前が呼ばれた
『A先生…』
シャワーのお湯が全身を包みこむと、そのあたたかさがまるで人肌の様で、彼に抱かれている感覚に襲われる
『A先生…』
やめて…
『A先生…』
もう…お願い…お願いだから…
『A先生』
やめて！！！！
目を大きく見開きあたりを確認しても、もちろん彼がいるはずはない
目の前のシャワーの音に換気扇が響き、変わった様子はなにひとつない
ゆっくり壁にもたれ、滑り落ちる様に裸のままの私は座りこんだ
いつの間にか、私の中にも『魔物』が住みはじめているのかもしれない
事件に関わった人間全員、こんな状態がずっと続いたのだろうか…
俯きながら、私はそんな事を考えた
シャワーのお湯を座りこんだままボーっと眺めると、曇りガラスの向こうに人影が一瞬通り過ぎ去るのが見えた
シャワーの音が響き渡る中、私の心拍数はどんどんあがり緊張が走りはじめた
唾をごくんと飲みこみ、シャワーを出しっ放しにして、なるべく音を立てない様に床を這って扉に耳をあてた
息を整え、ゆっくりと扉をあける
たちこもった湯気が扉から逃げていくのを目で追いながら、顔半分を扉の向こうに出し、暗い部屋の中、人影が通り過ぎた先の部屋の様子を伺った
眼球をあちらこちらに動かし、見える範囲で人影の行方を探す
しかしどこにも人影の様なものはみえず…変わった所はなさそうだった
ホっとしながら私は立ち上がり、扉をしめて髪や身体を洗った
サッパリした所で、身体を拭き部屋の明かりをつけた
すると部屋はめちゃくちゃに荒らされ、安田章大の資料はなくなっていた
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こじゅMAMA(プロフ) - 瀬取ぐりこさん» なかなか更新せずにですみません。お返事も遅くなりました。ゆっくりと読んでいただけたら嬉しいです！ (2020年1月18日 20時) (
レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
瀬取ぐりこ(プロフ) - お話の構成が天才すぎて、一気に読んじゃいました！ ２に行ってきます！ (2019年10月13日 15時) (レス) id: bdea2fdbd0 (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - トランスさん» コメントありがとうございます。黒安田私も大好きです。更新遅くなったりしますが、更新頑張っていきますのでよろしくお願いします。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: cfe8eab671 (このIDを非表示/違反報告)
トランス(プロフ) - 黒安田君好きです。カッコいいですよね。更新、楽しみにしてます。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: fad6927b23 (このIDを非表示/違反報告)
∞ぽむりん∞ - お気になさらないで下さい！検討有難うございます！期待しています♪ (2016年1月31日 17時) (レス) id: 6e7478b2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こじゅMAMA
| 作成日時：2013年12月17日 14時
