あの人の好きな人 ページ14
次の日の朝。
いつもと同じように焦凍にぃと学校に行き、教室に着いた。
いつも同じように。
でも……
「ねぇ、焦凍先輩ってシスコンなの？」
「……え？」
いつもとは違った。
「え、な、なんで？」
「いや、さ。昨日(友人2)が焦凍先輩に告ったらしいんだけど……」
「へ、へー……」
昨日のあのことか。
あの子、(友人2)だったんだ……
知ってるけど、知らないフリをした。
そうしなきゃ、いけない気がした。
同級生の話は止まらない。
「(友人2)ちゃん、フラれたんだって。他の先輩なら絶対OKするような子なのにさ」
「そ、そうなんだ」
胸騒ぎがすごい。
なんでこんな話をわざわざ私にしてくるの？
それに、焦凍にぃがシスコンって……
「(友人2)ね、焦凍先輩に聞いたんだって。"好きな人はいるのか"って」
「へー」
「その時、焦凍先輩なんて答えたと思う？」
しょ、焦凍にぃの好きな人。
考えたくない。
「い、いないと思う……いないって、答えんじゃないかな？」
こんなのはただの希望的観測。
そんなのは自分でもわかっているけれど、それに縋らずにはいられなかった。
お願い、"いない"って言って……！
「あんただって」
「は？」
……んん？
私？
「……なぜ」
「(友人2)がね、そう言われたって」
「……なんで」
「そこまでは知らん」
そりゃそうだわな。
あ、でも……
『妹だ』
あれって、そういう意味だった？
だったら……
「……そっか」
ドッドッドッドッと、耳元で早鐘が鳴り響く。
顔が心無しか熱い。
「Aー？ どうしたの、体調悪い？」
「い、いや、大丈夫」
両頬に手を当てると、やっぱりそこは熱を帯びていて。
嬉しいなぁ、なんて思ったりして。
私に話をふってきた同級生の観察するような視線に、私は気づかなかった。
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作者名：emiria | 作成日時：2021年6月12日 17時
