悲しいかな、恋心 ページ12
私と焦凍にぃは、帰宅後直ぐにお父さんとの鍛錬があるから部活には入っていない。
そして、私たちはいつも校門で待ち合わせをし、一緒に帰っている。
今日は係の仕事があって教室を出るのが遅れてしまった。
学校の階段を出来るだけ早く降りて(走っちゃダメだから、怒られない程度に)、急いで校門に向かう。
今日はやけに日差しの強い日だった。
日向から逃れるように、木陰に焦凍にぃの髪が揺れるのが見える。
「焦凍にぃっ！ 遅れてごめ……」
「好きです、焦凍先輩。付き合ってください！」
＿＿え
真っ暗になる。
目の前が。
そして、ちょっとした私の幸せが。
黒く染まっていく。
相手は私の同級生。
遠巻きにその姿を見つめると、その相手は学年の中でも可愛いと男子に人気の子だった。
＿＿焦凍にぃ、OK、しゃうのかな……
やだ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
彼女でもなんでもないくせに、ただただ嫉妬心と独占欲が偉そうに膨れ上がっていく。
チカチカと、やけに明るく安定しない視界の中、焦凍にぃが何かを言った。
同級生が悲しそうに俯く。
もう、いいかな。
ソロリソロリと抜き足差しで二人のもとへ少しずつ近づく。
あ、でもこの子がいなくなるまで離れてた方が良かったかな。
私との距離がさっきよりも縮んだところで、同級生が何かを言った。
何、何を言ったの？
同級生はとても必死な、悲しそうな顔。
それに対して、焦凍にぃは微笑んで言った。
「妹だ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：emiria | 作成日時：2021年6月12日 17時
