告白 ページ26
俺は妹のことが好きだ。
俺は妹のことを愛している。
でもそれは、純粋な愛ゆえに成り立っている愛ではない。
俺が妹に抱く愛のそこにあるもの、それは憎しみだ。
俺と妹は、年齢、性別、個々の能力、そもそもの才能……何もかもが違った。
俺は生まれつきの"個性"を持っていた。
だが妹は"無個性"だった。
俺の個性は、「半冷半熱」。
俺は、親父が産んだ最高傑作だった。
あのナンバーワンヒーロー、オールマイトを超えるべくして作られた子供だった。
母さんを利用してまで手に入れた、作り上げた最高傑作。
俺は齢一桁の頃から、親父に厳しい稽古をつけられた。
母さんはそれを見かねて俺を守るように親父に立ち向かったが、殴られはたかれ、突っぱねられた。
己が目的のために母を利用して、その上傷つけた。
俺は親父を、絶対に許さない。
俺が許さないのら、親父だけじゃない。
俺の心情など露知らず、俺に憐れみの目を向けて「可哀想」などと言ってきた妹も、俺の憎悪の対象だ。
今思えば、これは完全なる八つ当たりだ。
俺は確かに、世間一般的には"可哀想"な奴だった。
あの時も俺は、それをどこかでわかっていたんだと思う。
でもそれを認めたくなくて、そう言ってくる妹を睨み、うるさいと罵った。
俺が妹が俺の事を空いていることに気づいたのは、妹が小学校高学年になってからだった。
その時も俺は未だに妹のことが嫌いだった。
妹に向けられる好意を、疎ましく思った。
親父からの圧力と、妹からの好意。
その両方に押し潰されそうになる日々、ある日俺の目に朗報が飛び込んできた。
『"個性"の譲渡』
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作者名：emiria | 作成日時：2021年6月12日 17時
