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空元気�� ページ37
(続き)
「……私が死ぬのは、多分この二つです」
動けない俺に、優しい声音で冷酷に告げるA。
「一つは、敵との共倒れ。断言しましょう、私が敵に殺されてそれで終わりということはないです」
「……もう一つは」
「義勇さんが私の全てを知った後で、私のことを好きでなくなった時です」
「ならない」
彼女のどこをどうしたらそうなるんだ……
「二つ目の理由、重いでしょう？」
「……いや」
そこまで言って、ようやく俺の唇に置かれた指がどかされる。
もうここから先は言わせまい。
押し付けるように、強く唇を重ねた。
俺の背に回された手が、爪を立て、拳を握るのを感じる。
行為の最中、完全にその“体勢”になった時に俺に抱擁を強請ってきたAの瞳なぜか大量の玉粒を溜め込んでいた。
それは、親に捨てられる子供のように切なげで苦しげで……見てるこっちも、胸が痛んだ。
俺は、約三週間後、新月の夜にこの涙の真相を知ることとなるのを、知る由もなかった。
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作者名：emiria | 作成日時：2021年1月5日 21時
