凪と月 弐

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柱合会議③ ページ6

義勇side

――夜明けとともに、死ぬ？

あまね様の話を聞いたとたん、愕然とした。

俺の斜め後ろに正座して、あまね様の話を真剣に聞いているAの様子を盗み見る。

少し深刻そうな顔をしていたが……何を考え思っているのか、読めない表情だった。

「それは、“痣”のように年齢に関係のあるものなのですか？」

Aがあまね様にそう質問した。

揺るぎない、しっかりとした声だった。

「はい。洋書には、このような記述もありました。『九歳の少年が力を発動した後、彼はやはり死んだ』、と。力を使った者は例外なく、死ぬと書かれていました」

「そうですか……」

抑揚のない声。

あまね様がAに訊いた。

「Aさん。大変聞きにくいことなのですが……力を使うかもしれない場面はありますか？」

「力を使う場面……ですか。ちなみに、その血からの発動条件はあるのですか？」

「ありません。書物にも、不明と書かれていました」

Aは少し、目を見開いた。

少し考えたのち、彼女は言った。

「それがどのようなものか存じ上げていないので、確かなことは言えませんが……あると思います。ですが、それがいつになるかまでは……」

あまね様は静かに、目を閉じて言った。

「そうですか……わかりました。産屋敷耀哉は、あなたにこう伝えて欲しいと、言っておりました。『自分の目を信じて欲しい』と」

「御館様が……」

「はい。私も心から思っております。Aさんは今も、多忙なことと存じ上げております。そして、心身ともにお疲れのことに。そのなかでも……あなたが誇りを忘れずにいることを、産屋敷一同は心より祈っております」

――あまね様のこの言葉を最後に、柱合会議の報告会は終わりを告げた。

後半はほとんどあまね様とAの会話だったが、それは決して彼女らだけの問題ではないので、一同が暗い雰囲気にのまれつつあった。