凪と月 弐

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柱合会議① ページ4

Aside

木漏れ日が心地よい。

柱合会議のため本部に向かった後、思ったのはそんな呑気なことだった。

会議の三十分前に本部に着いた私は、会議が行われる部屋で正座をし、少し背を丸めてぼーっと外を眺める。

午後暫時の光は柔らかかったものの、少し眩しかった。

「あら、Aさん。どうしたんですか？ぼうっとして」

声が聞こえた方を見上げると、しのぶさんが私を見下ろしていた。

居住まいを正し、私は会釈をしていった。

「こんにちは、しのぶさん。ちょっと光が眩しいなって……」

「障子、閉めましょうか？」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

しのぶざんは私の左隣に腰を下ろし、しばらくの沈黙が続いた。

部屋には、私と義勇さんとしのぶさんの三人しかまだ集まっていない。

まだ全員集まっていないし、会議まで時間もあるだろうから、毒づくりについて聞くなら今だろう。

「あの、しのぶさん」

「はい」

「ちょっと相談したいことがあるのですが……今度、蝶屋敷へ伺ってもいいですか？」

私の問いに、しのぶさんはにっこり笑って頷いてくれた。

さら……と風が吹く。

嬲られた神が首筋や頬に当たり、少しくすぐったい。

風に促され、チラリと義勇さんの方を見る。

癖っ毛がフワフワと動いていて、目を閉じている。

……まるで安らいでいる猫みたい。

柔らかい午後の光に包まれたこの空間に、私は少し、胸を痛めた。