凪と月 弐

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鬼を殺す者⑬ ページ28

(続き)

「初めまして、珠世です。ご紹介の通り、毒の調合を手伝わさせていただきました。……こら兪史郎、そんな目で見ない」

「はいっ、珠世様！」

「……全く」

ため息をつく珠世さん。

私はふと、そんな二人の瞳に違和感を感じた。

これは……夜、私がいつも刀の柄を握る瞬間に感じるものだ。

「あの……聞いてもいいですか？」

おずおずと聞いてみる。

二人に比べて私は低身長なので、どうしても手を揉みながら上目遣いで伺うようになってしまう。

「なんだ」

「お二人って……鬼、なんですか？」

てっきり、兪史郎さんにはもっと険しい目で見られると思った。

でも彼はさも当然と言ったように、

「そうだ」

とだけ返した。

なんで鬼殺隊に協力をしてるんだろう……

「私たちは鬼ですが、無惨を倒したいと思っています。今回は、産屋敷家からの誘いがあったので、こうした形で協力することになったんです」

「そ、そうなんですか……」

珠世さんは私の手を掬うように優しくとって、握った。

私の手は、刀を握っているから皮が厚くなってしまっている。

珠世さんのその柔肌に、一瞬ドキッとした。

「あなたが鬼であるということは、今の産屋敷家当主から、またしのぶさんからも聞きました。……お互いに分かり合える部分は多いと思います。よければ、仲良くしてください」

「……！」

……知られていたとは。でもまぁ、当たり前か。

受け入れてくれるとは想像もしていなかったので、なぜか緊張して顔が赤くなってしまう。

「は、はい……！」

頬が自然とほころぶのを感じる。

珠世さんの顔が柔らかく、白く輝いて見えた。

……その後、兪史郎さんが密かに包丁を研いでいたのを発見し、少し騒ぎになったのはまた別の話。