凪と月 弐

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鬼を殺す者⑦ ページ22

Aside

兄を倒すための毒を共同開発することを、しのぶさんにお願いしてきた。

しのぶさんは最初こそ渋ってはいたものの、最終的には了承してくれた。

感謝しかない。

それと、西洋の鬼の性質を調べるため、としのぶさんに大量に血を抜かれた。

……大量に。

「ふうぅぅぅ……」

帰り道、昼前の強めの日光に焼かれながらゆっくり息を吐く。

貧血って……こんなにきついものだっけ……？

日光でただでさえ眩しい辺りが、さらにチカチカ白んでくる。

ああもう、しっかりしなくては。

午後からはまた、柱稽古も再開させなければならないし、肝心の柱がこんなんでどうする。

しっかりしろ。

そんなことばっかりを自分に言い聞かせ、歩みを進める。

お屋敷に着く頃には、私はもう、ぐったりしていた。

「た、ただいま帰りました～」

「お帰り」

「わっ、義勇さん！」

思っていたよりも至近距離で返ってきた挨拶に、思わず背を反らす。

眼前には義勇さんの綺麗な顔があった。

「随分と顔色が悪いようだが？」

「ああー……えっと、大丈夫です！」

「本当か？」

「はい！」

「……本当に？」

「……はい」

義勇さんの眉間には軽く皺が寄せられる。

ぐ……そんなに私、顔色悪い？

「Aさん、今日もう無理しないほうがいいと思うよ」

……ん？

近くから炭治郎くんの声がするような……

視線を彷徨わせると、義勇さんの斜め後ろに、炭治郎くんの姿があった。

「……炭治郎くん？」

どうしてここに？というか、苗字呼びから名前呼びになってるね。

別に構わないけど、急にどうしたの？

そんな疑問も言う隙もなく、炭治郎くんは私に言った。

「義勇さんが、Aさんと話したいことがあるって」

「え？義勇さん？」

思わず義勇さんの顔を見る。

なんかちょっと、義勇さんは怖い顔をしていた。

「……勝手で悪いが、今日は一般隊士は解散させた」

「え、そんなに長引きそうな話ですか？」

「お前次第だ」

……え、何それ。

納得いかない。

ちょっとむすっとしつつも、これは義勇さんの話を聞かない限りは進まないことだろうと思い、私は二人に続いてお屋敷に入る。

義勇さんの部屋の前まで行ったところ、義勇さんが炭治郎くんに離れるように言った。

「俺の部屋で話そう」

義勇さんは、それだけ言った。