凪と月 弐

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約束ページ11

Aside

不死川さんとの話を終えた後、私は会議が行われた部屋に戻り、しのぶさんの元へと向かった。

部屋の中を何気なく見てみると、もう義勇さんは帰ったらしく、その姿は見受けられなかった。

「すみません、待たせてしまって」

「いえ、大丈夫ですよ」

朗らかに笑うしのぶさんを見て、私も少し、安堵した。

「それで、いつ蝶屋敷に来るかですよね？」

「はい。出来るだけ、しのぶさんの方に都合を合わせたいのですが……」

「できるだけ早い方が良いですよね」

「そうですね、できれば……」

片手を自身の顎に当て、考え込むしのぶさんは、とても様になっている。

その優雅な仕草に思わず見とれていると、しのぶさんが顔を上げて言った。

「鬼の出現も極端に減りましたからね。来週の土曜日は空いてますか？」

「来週の土曜日……」

確かその日は、一日中非番だったはず。

「はい、空いています」

「じゃあその日の午前中はどうでしょう」

しのぶさんの提案に、お願いします、と頷く。

しのぶさんは、いつもの笑顔で言った。

「何についての相談かはわかりませんが……お役に立てられることがあれば、いつでも言ってくださいね」

いつもと変わらない笑顔だった。

普段なら頼もしく思えるその言葉も、今だけは、どうしても少し、心苦しく感じられた。