告白�� ページ39
義勇side
俺は今、台所にいる。
「お疲れでしょうから、待っててください」
Aにそう言われたけれど、今、Aから離れたら彼女が消えてしまいそうで。
俺は、何もしないから、と言い、無理矢理ついてきた。
そんな俺を、Aは曖昧に微笑んで見た。
「……義勇さん」
切った大根を水を張った鍋に入れ、火をつけた後、Aが俺の名前を呼んだ。
「なんだ？」
「嫌ですか？」
「……何がだ」
「汚い、私が」
「っ、そんなことはない」
汚い？ Aが？
なぜそんなことを言うんだ。
なぜ、そんな悲しいことを……―――
「私、身売りしてたこと……ずっと、義勇さんに言ってなかった。言わなかった」
「……」
「それはきっと、恥ずかしいから、とか、惨めな気持ちになるから、とかじゃなくて。これを知られたら、きっと、義勇さんにも……嫌われて、しまうのかな、って……思って」
途切れ途切れの告白。
Aの話が途切れた後、俺は暫く言葉を探せずにいた。
ガス窯の火が燃える音だけが聞こえる。
鍋の水が熱湯となり、ボクボクと音をたてて沸騰する。
Aがガス窯を弱火にしたところで、俺は言った。
「出発前、俺が言ったことを覚えているか？」
「……え？」
「伝えたい、大事なことがあると」
「あ……はい。覚えてます」
「好きだ」
……言った。言ってしまった。
まさかこんなことを言われるとは思っていなかったらしく、Aは茫然と、俺の顔を見ている。
「いつから思っていたかは定かではないが……きっと、出会った時からだろう。出会う前は、まともに息の仕方がわからなかったが……A、お前といると、しっかり呼吸ができるのを感じる」
何を言っているんだ、俺は。
……帰り道、決めたことだが。
俺は口下手で、言葉足らずらしい。
だから、思ったことを全て口にしようと決めた。
「お前を嫌いになったことなど、一度もない。そして俺は、お前は可愛く、愛らしく、誰よりも綺麗だと思う」
ぱちくりと瞬きをするAの顔は、先ほどとは違い、少し頬が朱に染まっている。
「口下手で言葉足らずな未熟者だが……そんな俺と、恋仲になってはくれないだろうか？」
恐らく、人生最初で最後の愛の告白だ。
つ……、と、Aの頬に、一筋の涙がつたった。
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emiria(プロフ) - ありがとうございます(*^^*) そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月12日 18時) (
レス) id: 326160d654 (このIDを非表示/違反報告)
藍乃 - どうしてくれるんですか！面白すぎてお茶を吹き出してしまったじゃないですか！！ 訳：面白すぎてお茶を吹き出しちゃったじゃん！もっともっと〜！←奴はドMです、 (2020年8月12日 13時) (レス) id: bea9161b20 (このIDを非表示/違反報告)
emiria(プロフ) - 月夜公さん» 良かった……笑ってくれる人がいた！ ありがとうございます！ (2020年8月8日 20時) (レス) id: ecee6d7503 (このIDを非表示/違反報告)
月夜公(プロフ) - 『この世の全ての鮭大根を食べてきた』だって......!! 思わず吹き出しちゃいました！！ (2020年8月8日 13時) (レス) id: 253c82e7ac (このIDを非表示/違反報告)
emiria(プロフ) - 月夜公さん» すみません！ ご指摘ありがとうございます。只今直してきました。 (2020年7月26日 16時) (レス) id: ecee6d7503 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emiria | 作成日時：2020年5月2日 15時
