やめて�◆、� ページ33
Aside
左手には鮭が入った袋、右手には大きな大根を抱え、私は家路についていた。
前までは重いと感じていたこの量も、鬼殺隊になって体を鍛え始めてからは何とも思わなくなっていた。
……あ、どうしよう。両手がふさがっているから鍵を開けれない。
「……お嬢さん、大丈夫ですか？」
ぽむ、と右肩に手を置かれ、ゆっくりと、けれどかなり無理矢理に体を振り向かされる。
「？ あ、ああ、大じょ……!?」
「やっぱり、羽衣紫か」
……私の目の前には、獰猛な笑みを浮かべた、一人の男性が立っていた。
顎を掴まれ、無理矢理口づけられる。
「うっ……んんっ！」
長く、きつい、押さえつけるような口づけ。時折、私の唇に男性の歯が当たって痛い。
鍛えている私よりも先に、男性の息が苦しくなったらしい。
乱暴に、突き放すように唇を離される。
夕日に照らされた銀の糸が、怪しくきらめく。
「俺のこと、覚えてない……？」
「え……？」
恐る恐る、男性の顔を見る。
口元に涎を零しているその人は……忘れもしない。
―――――借金のために身売りを始めた私の、初めてを奪った人だ。
「っ、はは、覚えててくれたんだ。その顔は」
「っ、いや！ ―――！」
私の身体を、乱雑に引き寄せられる。
痛い。
私の必死の抵抗も虚しく、再び接吻をされた。
歯がガチガチぶつかる。
……呼吸を使って振り切ることはできるけれど、一般人に対して呼吸を使うのは鬼殺隊の御法度に触れる。
「な、なんで……」
「ん？ なんでって？」
男性が私の頬を包み、上を向かせる。
嫌だ、触らないで。
「体の相性、俺たちめっちゃ良かったじゃん。もう一回しようよ」
そう言って、隊服のボタンに手をかける男性。
鮭が入っている袋を落とし、大根で男性を殴って必死に抵抗する。
「っ、テメェ‼」
すると、まるでボロ雑巾を投げ捨てるかのように、胸倉を掴まれ、放られた。
「っ……」
門に強く頭を打ち付けてしまったせいで、クラクラする。
男性は私が頭をぶつけた門に目をやると、憎々し気に、そして邪悪に笑い、こう言った。
「へぇ……こんな立派な屋敷を買えるくらいの奴と。買ってもらったんだ、お前」
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emiria(プロフ) - ありがとうございます(*^^*) そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月12日 18時) (
レス) id: 326160d654 (このIDを非表示/違反報告)
藍乃 - どうしてくれるんですか！面白すぎてお茶を吹き出してしまったじゃないですか！！ 訳：面白すぎてお茶を吹き出しちゃったじゃん！もっともっと〜！←奴はドMです、 (2020年8月12日 13時) (レス) id: bea9161b20 (このIDを非表示/違反報告)
emiria(プロフ) - 月夜公さん» 良かった……笑ってくれる人がいた！ ありがとうございます！ (2020年8月8日 20時) (レス) id: ecee6d7503 (このIDを非表示/違反報告)
月夜公(プロフ) - 『この世の全ての鮭大根を食べてきた』だって......!! 思わず吹き出しちゃいました！！ (2020年8月8日 13時) (レス) id: 253c82e7ac (このIDを非表示/違反報告)
emiria(プロフ) - 月夜公さん» すみません！ ご指摘ありがとうございます。只今直してきました。 (2020年7月26日 16時) (レス) id: ecee6d7503 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emiria | 作成日時：2020年5月2日 15時
