真心 #1 ページ6
あれからまた団員は散り散りになり、今私はクロロさん、シャル、マチと一緒に行動している。
「一か月後、団員全員集まってお宝を盗りに行くんだって」
シャルがココアとコーヒーを両手に持ち私の横へ座る。私がココアを好んでいることをシャルはちゃんと覚えてくれているのが少し嬉しい。
「ついに全員に会えるんだね」
「そっか。Aはまだ全員に会ってなかったっけ」
受け取ったココアを飲みながら談笑を楽しむ。
「あ、そうだ。ちょっと待っててね……」
そう伝えると席を外す。シャルやマチ、クロロさんに渡したくて作ったものがあったんだ。
もちろん仮宿には電気なんて通っていないから保冷剤を集め、クーラーボックスを用意してなるべく日持ちするように日陰に置いてあった。
と言っても、作ったのは昨日なんだけど。
「さあ皆さん。あ、クロロさんもこっちに来てください！」
本を読むクロロさんを引っ張り中央は集める。
「じゃーん！」
そう言って、皆の前に昨日作ったばかりのプリンとケーキを披露する。
「わ！ Aが作ったの？」
「へえ、裁縫の技術はないのにこういうのは出来るんだね」
「A、これは何だ？」
四角い箱の中を覗き込みながら、皆の反応は様々だった。
「実は私、こう見えてお菓子作りが趣味なんだよ。で、昨日街に出たらお料理教室があったからさ。プリンと苺ケーキ作ってきたの」
昨日たまたま見付けた料理教室の先生に、お料理をしたいけどキッチンがないと伝えると快くキッチンを貸して下さった。
お菓子作りが好きだと伝えると、“お菓子はあまり作らないから教えてくださる？”なんて言われて、ついつい張り切って作りすぎてしまったんだけど。
皆の分だけ持って帰り、残りはお料理教室の先生に渡すと“またいつでもいらっしゃい”と言ってくれた。
「美味しそう！ これ俺達にくれるの？」
「もっちろん！」
「あたしも食べていいの？」
「もっちろん！ プリンとケーキ、一つづつあるからね」
「そうか……では頂こうか」
いつも自分で作った物は一人で食べていたから、人に作るのは初めてで喜んでもらえるか不安だったけど、思ったよりも皆が興味を示してくれて良かった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲月 | 作成日時：2020年1月8日 0時
