翠色の瞳の貴方へ (ページ35)

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熱愛　#2 ページ35

「眉毛もないけど、まつ毛もないよね……？」
「ってめ、どこに目付いてんだよ、生えてるじゃねえか！」

そう怒鳴るフィンクスだけど、顔を見てもまつ毛らしい物は見当たらない。

「だからどこに……」
「ちゃんとあんだろうが！」
「ねぇフィンクス、まつ毛が何か知ってる？」

そう言い立ち上がり、座っているフィンクスの顔を覗き込む。
と数秒後、いきなり腕を誰かに引かれその場を離される。

「なっ……」

フィンクスも同様に驚いた顔をし、目をまん丸く見開き、次の瞬間にはニヤリと笑っていた。

後ろ向きに凄い速さで手を引かれているから、誰に引っ張られているのかが確認できないが、私には何となる分かる。
この手の温もりはシャルだ。そして恐らく、いやきっと、怒っているのだ。

「シャル、どしたの？何か怒ってる……？」

恐る恐る聞くが返事はなく、あっという間にシャルの部屋へと引っ張られてきた。

一体何だって言うんだ。
あぁ、クロロさんとのお出掛けで何か機嫌を損ねるような事でもあったのか。でもシャルは私に八つ当たりするような人じゃないし……

そんなことをほんの僅かの時間で考えていると、シャルが怒りに満ちた顔で私を捉えた。
私が今日まで見てきたシャルの中で、一番怒りや絶望に満ちていた。

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