熱愛 #1 ページ34
「にしても毎日毎日あちーな」
八月を迎え、セミの合唱団は今日も演奏会を開いている。
シャルとお泊まりした日からバタバタと色んなことがあって、すっかり暑さなど忘れてしまっていたが季節は夏。冷房器具なんてない夏の本拠地はやはり耐え難い。
「フィンクス声に出さないで、余計暑くなる……」
シャルとクロロさん、フランクリン、パク、コルトピはお仕事に。
私はフィンクスとお留守番。
シャルは最後まで『俺が残る』って言っていたけど、情報収集の為にシャルとパクの同行は必須らしく渋々諦めていた。
「シャル達きっと冷房のかかった場所にいるんだろーなー」
「ったくなんで俺が留守番なんだよ……」
「それは頭が悪いからじゃ……？」
「んだとこら！ やんのか！？」
いつもなら他の団員が突っ込んでくれたり、笑って見守ってくれたり、止めてくれたりするのに、これじゃ本当の喧嘩みたいだ。
「二人だと退屈だね」
思えば、フィンクスと二人っきりってちょっと新鮮。
「お前シャルと何で付き合わねぇんだ？」
「かき氷とか食べたら涼しくなるのかなー」
「お前もシャルのこと好きなんだろ？」
「アイスでもいいな、冷たい物食べたい」
「それともあれか？ やる事だけやる関……」
「フィンクスうるさい！！」
まただ。フィンクスは事あるごとにこの手の話をしてくる。
「フィンクスには関係ないこと！ ね、それよりさ、フィンクスって……まつ毛ある？」
「はぁぁぁぁ？？？」
唐突に私がそんな話をしたからか、フィンクスの間抜けな返事が響き渡る。口をあんぐり開けて全身を使って『何言ってんだこいつ』を表している。
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作者名：咲月 | 作成日時：2020年1月8日 0時
