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無償の愛 ページ2

出会った頃は桜が満開で春の風が心地良かったけど、すっかり桜は散り季節は梅雨を目前にしていた。

「今日も雨だねえ……」
「雨は嫌いか?」
「フランクリンは、雨好き?」
「さあな」

他の団員達はクロロさんとお出掛けしていたり、仮宿を出て行っていたりして、私はフランクリンとフェイタンとお留守番。

「ね、クロロさんが今度旅団全員集合して何か盗りに行くって言ってたけど本当?」
「日は決まてないけど全員集まるのは本当ね」
「今度はなにを盗るんだろうね」
「そうだなぁ……だがAは今回もきっと留守番だと思うぞ」

そう、私はいつも仮宿や本拠地でお留守番ばかり。
協力関係にはあるけどメンバーではないから当然なんだけど。

「A来ると走るの遅いから足手纏いなるよ」
「うっ、たしかに……」
「それにAが来ると、敵は皆カルマが片付けちまうだろ? 俺達の楽しみが無くなっちまう」
「ごもっともです……」

戦闘が好きな彼らにしてみれば、私が付いていけばおもちゃを取り上げられた子供のような感じなのだろう。

「そ、だからAはお留守番して、俺たちの帰りを待っててくれてるのが一番」
「シャル! どうしたの? 」

「予定早く切り上げて帰ってきたんだよ。Aに早く会いたくて」

雨に濡れた髪から、ポタポタと滴が落ちるのを見て慌ててタオルを手に取りシャルの元へと駆け寄る。

「シャルこれ……風邪引くといけないから」

そう言ってタオルを渡すと、とびっきりの笑顔で受け取ってくれる。

「ありがとうA、借りてくね。ちょっとまだ調べたいことがあるから」
「うん、無理しないでね」

そう伝えるとシャルはひらひらと片手を揺らし別室へと向かって行った。


「Aシャルのどこが好きか?」
「何言ってるのフェイタン。そんなんじゃないよ」
「頑なに認めねえな、Aは」
「あ、ううん語弊があった。フランクリンも、フェイタンも、シャルと同じぐらい大好きだよ」

シャルだけが特別なんじゃなくて、皆同じぐらい大好きなの。

「は、そうか。ありがとう」

そう言ってフランクリンが頭を撫でてくれる。

「馬鹿馬鹿しいね、私巻き込まないでくれるか」

フェイタンは少し下を向いてるけど照れているみたい。
クロロさんも、シャルも、マチもパクもフランクリンもフェイタンもフィンクスもノブナガもウボォーも、まだ会ったことのない団員達も、皆大好き。

フランクリンに頭を撫でられながら降り続く雨の音を楽しんだ。

.

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作者名:咲月 | 作成日時:2020年1月8日 0時

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