秘密の愛 ページ13
「っは!!! 」
目を覚ますとそこはふかふかのベッドの上、とはいかず床に気休め程度の布が敷かれた固い床の上だった。身動きせず眠っていたからか身体はバキバキと悲鳴をあげている。
上体を起こし、周りを見ても誰もいない。本拠地ではないこの場所は一体どこなんだろう。
「なんで私寝てたんだっけ……」
あの日、巻物がまた私の
「携帯……っと、充電切れだ」
勝手に外へ出るわけにはいかなないから、仕方なくまた寝転ぶ。何時間、何日眠っていたのだろう。皆はどこにいてるのかな。ボロボロの天井を眺めながら呟く。
「一人ぼっちか……」
こんなはずじゃなかったのに。皆の
「シャル……」
こんな時思い浮かぶのはやっぱりシャルの顔。
幾度となく見たけど、こんな時にこそあの笑顔を見たいなって思ってしまう。
「好きだよ、ほんとはずっと好きだよ……っ」
蓋をしても蓋をしても、止め処なく溢れてくるシャルへの気持ち。必死に隠して、シャルに悟られない様にしているけど、一人ぼっちの時には隠しきれない。抑えていても口から溢れてきてしまう。
「好きって言いたいよ……」
ボロボロと涙が溢れ、シャルへの気持ちも溢れてくる。
あの笑顔を独り占めしたい。あの腕に抱かれたい。優しい声で名前を呼ばれたい。隣で一緒に生きていたい。
でもそれを叶えてしまうと、シャルを失った時のことを考えてしまう。どうせ失うのなら、最初から手に入れなければいいだけ。
そうは言っても涙はどんどん溢れ、一頻り泣いてスッキリすると今度は眠気が襲ってきた。泣き疲れるとはこの事か。
抗うことなく襲ってくる眠気に身を委ね静かに目を閉じた。
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作者名:咲月 | 作成日時:2020年1月8日 0時