＊文スト＊『彼等の甘い誘惑受けてみませんか？』

＊福沢諭吉＊『月見』ファーストMeさんリク ページ13

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「今夜は満月ですね」






二人で縁側に座り綺麗な真ん丸なお月様を見ている。





「嗚呼…そうだな。晴れて良かった」





ｽﾞｽﾞｽﾞ、と湯呑みを傾け、お茶を飲む諭吉さん。





「本当、晴れて良かったです…(ﾌﾞﾙ」





風がひゅ、と吹き少し身震いをする。私は片方の手で腕を擦った。




「寒いのか…？此れを着ていろ…着ない依りは幾分か暖まる」






そう云って私に己の着ていた濃い緑色の羽織物を掛ける。





「でも、此れじゃあ諭吉さんが風邪を引いて仕舞われます…」





「気にするな。御前が暖かければ其れで善い。…！」




彼はそうは云って呉れたけれど矢張心配なので其の羽織物を諭吉さんに着せた。




「…羽織物は諭吉さんが着ていて下さい。…私は貴方が抱き締めて頂けたら…暖まり、ます」




多分、今の私は、月の明かりでも判って仕舞う程に頬が桜色に色付いているだろう。





「嗚呼…判った…私が暖めてやる…来い」








_____________其れから、私は満月を見る間ずっと彼に暖めて貰っていた









:end

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