*坂口安吾*『錠剤』 ページ1
*
「…無茶ばかりするからですよ」
私の額にある既に温くなってしまった御多織留(タオル)を新しい冷たい御多織留に取替え乍ら云う安吾さん。
「だって、残業しても残業しても仕事が終わらないんですもん…ゲホ…ゲホッ」
「貴女が報告書書くのサボるからでしょう。
…そろそろお昼ですね、何食べたいですか?」
チラリ、と腕時計を見て私に問う彼。
「じゃあ、アイス食べたいです…ゲホ」←
「…貴女に聞いたのが間違いでした。お粥作りますから大人しくしてて下さい。あ、台所借りますよ」
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数十分後…、台所からとても良いにおいが漂ってくる。自然にお腹がグゥ〜、となった。
「御待たせしました。簡単なものですが、喉に良く食べ易い蜂蜜梅干し粥です」
「お、美味しそう…有り難う御座います、頂きます」
木製のスプーンで掬いふぅ、ふぅ、として口へ運ぶ。パクっと口に含むと蜂蜜の甘味と梅干しの酸味が絶妙に絡み合っていて凄く美味しい。
「安吾さんっ!凄く美味しいです!!」
「口に含んだ儘、喋らないで下さい…小さい子じゃないんですから。ですが、お口に合い良かったです」
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「ご馳走様でした!」
安吾さんと他愛無い話をしていたら、何時の間にか食べ終わっていた
「では、薬を飲みましょうか」
そう云って、錠剤を取り出す
「えッ、い、嫌です…ッ、錠剤何て飲みたくありませんー!」
「飲まないと治りませんよ」
「飲む位為ら、死んだ方がマシです…!!」
ふるふると首を横に振る。多分、私は此れ迄に無い程顔を顰めているだろう。
「はぁ…、何れ岳錠剤、嫌い何ですか…。しょうがないですね。では、目を瞑ってて下さい」
「…其れで飲まないで良いですか?」
「良いから、目を瞑ってて下さい」
大人しく目を瞑ると数秒後に唇に柔らかいモノが当たる。びっくりして目を開けると、至近距離(ドアップ)の安吾さんと目が合った。
「ふっ…、んんっ…ゴク…ッ」
舌で口を抉じ開けられ、水と一緒に薬が流れ込んできた。思わずごくり、と飲み込んでしまう。
「はぁっ、…ちゃんと飲めるじゃないですか」
「あ、安吾さんの馬鹿…っ//」
「ちゃんと飲めたから良かったじゃないですか、其れとも未だ、足りないですか?」
「も、もう大丈夫です…!!」
:end
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ann✩ - 江戸川乱歩君のドSを見てみたいです!いつでもいいです!!面白かったです! (2022年8月12日 18時) (レス) id: 6a7e843e24 (このIDを非表示/違反報告)
★ayaka★(プロフ) - おもしろかったです。続き待ってます (2020年1月15日 23時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
ウミソラ(プロフ) - 渋い素敵なおじ様!!広津さん!!のリクで、同僚で初恋の人に想いを告げる甘いお話をお願いします!!お返事はいつでも構いません!! (2018年12月2日 22時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
千尋(プロフ) - ポオVS乱歩と福沢VS乱歩の奪い愛が読みたいですw (2018年7月28日 22時) (レス) id: 2acc65c160 (このIDを非表示/違反報告)
(forget-me-not) - 芥川さんに愛されたいです (2018年7月4日 21時) (レス) id: 4896fcd358 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*初夏sora* | 作成日時:2016年12月26日 19時