After Story1 ページ31
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「……っしゃ………っしゃぁぁっ！！！」
大毅が亡くなって39年、
そして、俺が脳神経外科の医者になってちょうど30年。
最先端研究をしているアメリカで、
ついにあの病気にうち勝ち、
社会復帰した患者が現れた。
「…な、中間先生どちらへ！？」
「ちょっとアメリカ！ なんかあったら呼んで！」
30年のキャリアの末、大毅の病気の専門医として、
全国から患者さんが俺の元に来てくれるようになった今。
大毅のころには5年生存率がほぼ0%だったこの病気も、
なんとか、ほぼ全員が5年は生きられるようになった。
さらに延命の治療薬が増え、それに効く身体なら、
病気でも15年、生きられる時もあるけど、
最終的に訪れてしまう死は、
今でもなお、避けきれてはいない。
アメリカで有効薬が見つかれば失敗して、
また見つかれば失敗して。
そして、1番最近に開発された新薬も、
これまた強い副作用のため、
合併症で余命よりも先に亡くなってしまった方や、
限界で投薬を辞めてしまった方が続出した。
そんな時に、舞い込んだこのニュース。
副作用に打ち勝ち、社会復帰した患者さんが、
アメリカで初めて誕生した。
もちろん、薬やリハビリは続行な上、
症状の進行で落ちてしまった視力は、
もう、どの手を使っても完治は難しいらしいけど、
それでも患者さんは、あの病気を乗り越えて、
また新しい道を歩き出そうとしているなんて。
思わず若い雄叫びをあげてしまったが、
歳も歳やから、涙が出たぐらい嬉しかった。
「のんちゃん先生！」
スーツに着替えて、少しでも早い便に乗ろうと、
病院を出ようとすれば、
ふと後ろから呼びかけられるそんな声。
ちなみにのんちゃん先生とは何を隠そう俺のことで、
研修医時代から患者さんたちに呼ばれてたあだ名が、
なんとなく30年経った今でも使われてるだけ。
正直恥ずかしいんよな。
もう、俺もいいおっさんやねんからさ。
「おぉ！ 廉！ なに？ リハビリ帰り？」
振り返って視線を下ろせばそこには、
今、担当している俺の患者さん、廉。
発症は大毅よりも早い中学2年生の頃で、
高校2年になった今ではもう、
少しの聴覚障害と、
車椅子で生活しているくらいの運動障害が出ている。
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のん(プロフ) - この作品大好きです。素敵な作品をありがとうございます。表現素晴らしいです。涙が止まりません。一瞬でファンになりました。 (2020年7月25日 2時) (
レス) id: 56343318d5 (このIDを非表示/違反報告)
ごま - 声出して泣くくらい本当に号泣です。素敵な作品に出会えてよかったです!ありがとうございます。 (2020年5月10日 1時) (レス) id: d07563048d (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - 初めまして！久々に小説で号泣しました。友人に勧めたくなるくらい素晴らしいお話に出逢いました。ありがとうございました。 (2020年5月6日 17時) (レス) id: a6f24fa91f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - はじめまして、知り合いに勧められて一気に読みました。途中から涙が止まらなくて、親には心配されました笑多分何回もまた読みに来ると思います、最高の作品でした。作者さんの他の作品も読んでみますね。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年5月5日 9時) (レス) id: f84ebdac68 (このIDを非表示/違反報告)
たぁ(プロフ) - こんにちは。もう一度読みたくなってきちゃいました笑 ほんとにこの作品素晴らしいです>_< 何度涙を流したことか…最高の作品をありがとうございます。 (2020年5月4日 17時) (レス) id: 4b1a527b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香 x他1人 | 作成日時：2017年1月4日 18時
