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「……のんちゃん、のんちゃん。」
そこから数日経ったある日、
我が家に、ある事件が起きました。
「……今日は、学校行けそ、？」
忌引きによる欠席が終わり、
また登校を再開しはじめた初日のこと。
ほんまはめっちゃ辛いけど、
辛いまま進まずにいたら大毅が怒るから、って、
まあ、カラ元気ではありましたが、
割りかし明るく登校していた望の前に、
ある1人の記者の方が現れ、
こう尋ねてきたのです。
…君、病気のお兄さんのために野球部入ったんだって？
その時点では何も思わず、はい、と、
素直に頷いたようなのですが、
勘が鋭い望は、頷いてすぐ、
これが、あまり良くないものだと気付きました。
…それで、お兄さんの代わりに甲子園目指して、
最近、お兄さん亡くなったよね？
…いいネタになると思うんだよね。
ちょっと話聞いていい？
どこからそんな人に伝わったんでしょうね。
後から聞くと、シンデレラボーイは、
SNSで少し有名になっていたらしく、
なぜ野球部に入ったのか、というのも、
疑問に思っている人が多かったのだそうです。
それで、どこかでその理由を教えた人がいて、
そこからだんだん広まっていって…
とにかく、その日望は一目散に逃げたと言います。
足だけは速いやつですから。
学校に逃げ込み、
でも誰にもこのことを言えず1日を過ごし、
部活は引退してたから、何食わぬ顔で夕方には帰宅。
その生活が、日を重ね、日を重ね、
約2週間も1人で抱え込んでたんです。
他の人に迷惑かけたくない、
なんて思っていたんですかね。
それは、望のデカくても柔い心を痛みつけ、
私には、高熱と腹痛として伝えられてきました。
病院にかかれば、診断はストレス。
そこで本人に聞いて、私は初めて、
その存在を知りました。
幸いにも、記者の数は変わらず1人。
ですが、部活の仲間はそれを、
補欠のくせに注目されてる、と思ったのか、
学校でも望は、意味なく避けられて、ハブられて。
ボロボロの心と高い熱にうなされる、望。
そんな望の汗ばむ前髪を分けながら、
私は、彼がもらってきたという記者の名刺を握りしめ、
次の日には、病院の診断書とともに、
学校と警察へ乗り込みました。
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のん(プロフ) - この作品大好きです。素敵な作品をありがとうございます。表現素晴らしいです。涙が止まりません。一瞬でファンになりました。 (2020年7月25日 2時) (
レス) id: 56343318d5 (このIDを非表示/違反報告)
ごま - 声出して泣くくらい本当に号泣です。素敵な作品に出会えてよかったです!ありがとうございます。 (2020年5月10日 1時) (レス) id: d07563048d (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - 初めまして！久々に小説で号泣しました。友人に勧めたくなるくらい素晴らしいお話に出逢いました。ありがとうございました。 (2020年5月6日 17時) (レス) id: a6f24fa91f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - はじめまして、知り合いに勧められて一気に読みました。途中から涙が止まらなくて、親には心配されました笑多分何回もまた読みに来ると思います、最高の作品でした。作者さんの他の作品も読んでみますね。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年5月5日 9時) (レス) id: f84ebdac68 (このIDを非表示/違反報告)
たぁ(プロフ) - こんにちは。もう一度読みたくなってきちゃいました笑 ほんとにこの作品素晴らしいです>_< 何度涙を流したことか…最高の作品をありがとうございます。 (2020年5月4日 17時) (レス) id: 4b1a527b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香 x他1人 | 作成日時：2017年1月4日 18時
