おかん、あんな？２

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その日に、

大毅は本当に体力を使ってくれたんだと思います。





数日後、





今度は右心側が不全を起こしてしまいました。









「だいき、なんか可愛い。」









左心側の異常により、

右心側に負担をかけてしまったせいで、

起こってしまった、この時の不全。





右心の調子が悪くなると、

少し身体がむくんでしまうんです。





そのせいで、角ばった大毅の男らしい顔は、

ほわっと丸くなって、





私は、不謹慎にも可愛いと思ってしまっていました。









「うわ、足めっちゃむくんでんね？
マッサージしよっか。」









どれだけ利尿剤が投与されても、

心不全の薬が投与されても、

なかなか手強かった、そのむくみ。





女子がお風呂で頑張るようなマッサージを、

すね毛を巻き込みながらも念入りに施してやって。





おかげさまで、おかんの二の腕が、

少しばかりスッキリしました。





その節は、どーもありがとうございました。









「よしっ、終わり。
あとは、内出血冷やしてあげるね？」









相変わらず暑さが厳しい中、

毎日毎日、病院に通い続けて、





どうか奇跡が起きますようにって、

近くの教会でお祈りをして、神社を見つけたら祈祷して。





気づけば、8月も後半。





熱い熱い、甲子園も決勝戦を終えていました。









「だいきも、もうハタチかぁ。」









カレンダーに赤いハートで囲んだ日にち。





それを見て、

そして、もうなかなか起きることの少なくなった、

大毅の寝顔を見つめて、なんかしみじみ感じて。





そりゃ、私も歳をとるわけだ。





その当時で38歳。





まぁ、周りのお母さんよりは断然若いはずでしたけど。





成人式には、後ろからでもいいからついて行きたいなぁ、

なんてことも考えたり。





余命を宣告されてから、2ヶ月半。





大毅とあれやりたい、これやりたい。





むしろ、私の中では、たくさんの夢が膨らんでました。





今思い返せば、

あれやりたかったのにな、これやりたかったのにな、

裏にはそんな考えがなかったわけではない、

かもしれませんが。









「じゃあね、だいき。 また、明日来るからね？
明日は、のんちゃんも来るよ？ 夏休み最後やから。
元気で待っててね？」









頭を撫で、後ろ髪を引かれながらも退室。





そう言った日は確か、8月の24日。





20歳まであと二日に迫った日でした。





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