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蝉がじりじりうるさく鳴き始めたころには、
小さくではありますが、
初めて心不全を起こしてしまいました。
「…苦しいね、？ がんばれがんばれ、」
その時は、左心側が異常をきたしてしまい、
身体に血が廻らなくなって、真っ青になってた、大毅。
酸素もマスクで投与された上に、
夏なのに身体が冷えてしまい、
ごつい布団を、どっさりと被されてました。
さらに、口から薬が飲めない分、
腕に刺さる点滴が、どんどん増えていって。
それによってできてしまった無数の内出血は、
見るたび、氷で冷やしたり、タオルで温めたり。
あの赤黒さはきっと、
いつまでたっても忘れられないと思います。
「今日、のんちゃん試合やってまた勝ってんて？
次、勝ったら甲子園行けるらしいわ。
まぁ補欠やから、試合に出たんかは知らんけどね。」
そう、また腕を温めながら1人で喋っていると、
ゆっくりと開く、目。
そして、その黒い瞳がぼんやり合うと、
とりあえず、数秒間停止して。
「考えてる、考えてる。
今日はしんどいやろ？ 寝てていいで？」
そう言って、持ってた腕をトントン、叩いてやるけど、
そんな声は届いてないから、
また一生懸命、私が誰か考えることを続行。
10秒ぐらいしたら、
やっと緩む表情にバッチリとあう目線。
そして、私に笑おうとしてくれるんです。
もう、身体は笑うことなんか難しかったのに、
おかん、俺、思い出したったで？って。
それが、このころになれば唯一の救いでした。
「意外と元気やん。 そのテンションに、
全然、あなたの顔色付いて行ってないけど。」
ナースコールで先生を呼んで、
調子が戻ってきたら、
また酸素が鼻のチューブに変わって。
あれ、鼻の中がかなりスースーするらしいですね。
不快感を大毅が目で訴えてくれば、
近くで望が鼻をすすってる時もありました。
「のんちゃん、甲子園決まったんよ。
応援行きたいね、？ 今年は3年生やから、
もしかしたら、出れるかもしれへんしね、？」
望が18歳になり、甲子園が本格的に始まれば、
病室のテレビをつけて、毎日見てました。
初めは大毅のためにってゆうてたけど、
気づけば私がかぶりついてて。
熱闘甲子園も見てました。
感動して、泣いて、大毅に心配されるくらい。
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のん(プロフ) - この作品大好きです。素敵な作品をありがとうございます。表現素晴らしいです。涙が止まりません。一瞬でファンになりました。 (2020年7月25日 2時) (
レス) id: 56343318d5 (このIDを非表示/違反報告)
ごま - 声出して泣くくらい本当に号泣です。素敵な作品に出会えてよかったです!ありがとうございます。 (2020年5月10日 1時) (レス) id: d07563048d (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - 初めまして！久々に小説で号泣しました。友人に勧めたくなるくらい素晴らしいお話に出逢いました。ありがとうございました。 (2020年5月6日 17時) (レス) id: a6f24fa91f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - はじめまして、知り合いに勧められて一気に読みました。途中から涙が止まらなくて、親には心配されました笑多分何回もまた読みに来ると思います、最高の作品でした。作者さんの他の作品も読んでみますね。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年5月5日 9時) (レス) id: f84ebdac68 (このIDを非表示/違反報告)
たぁ(プロフ) - こんにちは。もう一度読みたくなってきちゃいました笑 ほんとにこの作品素晴らしいです>_< 何度涙を流したことか…最高の作品をありがとうございます。 (2020年5月4日 17時) (レス) id: 4b1a527b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉都香 x他1人 | 作成日時：2017年1月4日 18時
