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「…は? 100万に1人?」
病名は、未だに覚えられてない。
けど、その数字を聞いた時は素直に驚いた気がする。
「そう、珍しいねんてー。
身体がな、どんどん動かんくなるんよ。」
今思ったら、俺、ほんまに失礼やったと思う。
それまでは白けたそぶり見せてたくせに、
急に気になったから声かけて、
ほんでちょっと強気にリハビリしてる理由を聞いてくる。
でも、あいつは笑ってた。
この倍率って宝くじよりすごいと思わへん!?
とかなんとか言うて。
「なんで…そんなに笑ってられるん、」
だから、そんなことも思わず聞いてしまった。
もしかしたら、泣くまいと、
必死にこらえてたかもしれへんのに。
「いや、泣いたって治らんやん!?笑」
やけど、そのにぃーっと笑う口から出て来たのは、
まさに正論中の正論やった。
「それやったら笑ってたくない!?
笑って、よっしゃ頑張るぞ!って気合い入れてさ!」
初めは、何にも知らんまま、
頭痛とめまいに襲われて、検査して、
その時が1番不安でたまらんかった、ってまた笑う。
けど、病気を知ったその瞬間から、
敵がはっきり見えた気がして、
それと同時に闘う力も湧いてきた。
だから、動かんくなる身体とか全く怖くないんや、って。
俺は、その話を聞いた瞬間、涙が止まらんくなってた。
「ええっ、どないしたん?笑
神ちゃんってもっとメンチ切ってるキャラやんか!」
こっちが見てるってことは、
相手も同じぐらい自分のことを見ている。
メンチ切ってるキャラやと思われてたんや、
ってそれはそれでショックやったな。
その日から、大毅と一緒に、
俺は笑ってリハビリするようになった。
そしたら、次は2年生からって言われてた高校に、
3月の終わりの方だけやけど通えた。
「早く病気治せよ! 絶対一緒に遊ぶからな!」
退院するときは、松葉杖の俺が、
少しずつ車椅子に乗るようになってた大毅に、
目線を合わせて固く握手を交わした。
「任せろ。 次は50メートル競争やからな?笑」
たぶん、大毅に会わんかったら、
俺、耐えられへんことだらけやったと思う。
ほんまに、すごいやつやった。
今でもちょっとしょげたことあったら、
どっかで笑って見てそうなくらい。笑
(END)
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のん(プロフ) - この作品大好きです。素敵な作品をありがとうございます。表現素晴らしいです。涙が止まりません。一瞬でファンになりました。 (2020年7月25日 2時) (レス) id: 56343318d5 (このIDを非表示/違反報告)
ごま - 声出して泣くくらい本当に号泣です。素敵な作品に出会えてよかったです!ありがとうございます。 (2020年5月10日 1時) (レス) id: d07563048d (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - 初めまして!久々に小説で号泣しました。友人に勧めたくなるくらい素晴らしいお話に出逢いました。ありがとうございました。 (2020年5月6日 17時) (レス) id: a6f24fa91f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - はじめまして、知り合いに勧められて一気に読みました。途中から涙が止まらなくて、親には心配されました笑多分何回もまた読みに来ると思います、最高の作品でした。作者さんの他の作品も読んでみますね。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年5月5日 9時) (レス) id: f84ebdac68 (このIDを非表示/違反報告)
たぁ(プロフ) - こんにちは。もう一度読みたくなってきちゃいました笑 ほんとにこの作品素晴らしいです>_< 何度涙を流したことか…最高の作品をありがとうございます。 (2020年5月4日 17時) (レス) id: 4b1a527b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2017年1月4日 18時