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「なんでも聞いてください、って言ってます。笑
私が先輩だから、って。笑」
生い立ちから病気発症、そして発症から今まで、
本当にいろんなお話を聞かせていただいきました。
その間に、桜木さんが飛鳥さんに、
お客さんが来ている、と伝えたのは7回。
たった2時間半ぐらいの間に、
そんなにも、事を忘れてしまうなんて。
「私自身も、全然忘れられることありますよー?
あすかの場合、人を判断するのにはもう、
肌の感触とかだけですから。笑」
明るくそう話す、桜木さん。
彼女は、それも慣れです、とおっしゃっていたものの、
我が子に忘れられるほど悲しいことはないと思いました。
慣れる前は、悲しくなかったですか?
単刀直入ですが、そう尋ねれば、
返ってきたのは、こんな答え。
「大丈夫です。 絶対思い出してくれるんで。」
もう刷り込まれてますから、あすかの記憶に。
決してふざけは、ありません。
強い眼差しで、桜木さんはそう言ったんです。
それには、どちらかというとロジック人間の旦那も、
大粒の涙を流していました。
「お2人の中にいる大毅くんを思い出してください。
どうですか? たくさんいませんか?
こんなにたくさんいるんですから、大毅くんの中から、
お2人がいなくなるわけないと思いません?」
それだけ愛を持って育ててきたんですもの。
病気なんかでいきなり無駄になったりしないくらい。
全ての不安が涙とともに流れ出ました。
「発症時に言われました。少ないデータではありますが、
この病気の5年生存率は0%、だと。」
「…ゼロ、パーセント。」
「はい…でも、それから4年が経ちました。
正直言って、その進歩は、
ごく小さなものではあるかもしれませんが、
未来は絶対捨てずに! お互い頑張りましょうね?」
ステキな親子に出会えた。
それだけで、三重まで来た甲斐があったな、と、
心の底から思えました。
「今日は、ありがとうございました。」
「ありがとうございました。
あすかさんも、お話聞けて嬉しかったです。」
「こちらこそありがとうございました。
またいらしてくださいね、とあすかも言ってます。」
帰り道、また3時間のドライブ。
なぜだかわからないのですが、
早く大毅と望に会いたくてたまりませんでした。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時