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頭痛、目眩、運動障害、記憶障害、言語障害、
視力低下、聴力低下、呼吸困難、心不全。
どんどんと漢字が並べられていって、
隣に座る頭の良い旦那に比べ、
理解するのにはかなり時間がかかった、私。
ですが、
「…率直に申し上げます。」
この言葉だけは、不服にも一回で理解できました。
「…現在、治療法は見つかっておりません。
ぼくらにできるのは、」
“…代用薬品で症状を緩和したり、
少しでも進行を遅らせること、だけです。”
申し訳ありません、と深く頭を下げた、先生。
その先生に、旦那は、
珍しく摑みかかりそうになっていました。
お前医者のくせになんで病気の治し方知らんねん、と。
そんな旦那を、
思考停止により、私も止めることができませんでした。
それだけ、突然で、
それだけ、意味がわかっていなかったんです。
「大毅くんの担当医を務めさせていただきます、
桐山照史と申します。 宜しくお願い致します。」
下げてた頭を一度上げ、そう言うと、
先生は再び、深く頭を下げました。
桐山先生は、さらにこう言葉を続けます。
「…ぼくは絶対あきらめません。
100万人に1人だろうが、治療法がなかろうが、
大毅くんには絶対に元気になってもらいます。」
…正直、その言葉に根拠はありません。
たたの意気込みか、と言われればそうかもしれません。
ですがっ、
「…大毅くんの人生は、絶対に後悔させません。」
出会った当初から、桐山先生は泣き虫でしたね。
想いが強すぎたのか、この時も泣いていました。
その熱すぎる言葉には、本当に根拠がありません。
根拠がすべてである科学の世界に生きる彼が、
こんな無責任なことを言って良いのかと思うくらい。
ですが、気がつけば、
素直に委ねてみようと思っていました。
旦那は、最初は怒ってましたね。
あんなやつに大毅は任せられへん、と。
けど、いつの間にか彼も、
桐山先生の熱に引き込まれていました。
そしていつかは、3人で泣きました。
「…ありがとうございました。」
さらに追加資料をもらい、私は家、旦那は仕事場へ。
まだこの時は、この先私たちはどうなっていくのか、
そして、どうするべきなのか、
全く想像できませんでした。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時