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おかん、苦しい。
熱い息の中、はっきりと聞こえたその言葉。
すぐさま大毅を車椅子に乗せ、
桐山先生に連絡をしながら、
病院まで車をかっ飛ばしました。
「…もうちょっと我慢してなー? すぐ着くからなー?」
病院に着くまでは、ずーっと助手席の大毅に声をかけて。
もう、赤信号にはイライラしました。
いっそのこと、うちの車にも、
救急車のランプをつけたくなったくらい。笑
「せんせっ、」
{お待ちしてます。}
連絡をすると、
女子高生並の速さで返事をくださった、桐山先生。
病院に着くなり、違反ギリギリのところに駐車して、
いつもの診察室へ駆け込みました。
後々聞けば、その日は当直だったそうですね。
本当にすみません。
とても、ありがたかったです。
「とりあえず、酸素と脱水してるっぽいから輸液。
大毅ー、聞こえるかー? 熱高いなー?」
すぐに診察室のベッドに転がされ、
桐山先生のごつめの腕にバシバシ叩かれる、大毅。
痛いわ、とでも言いたかったのでしょうか、
目を閉じたままではありましたが、
先生の声に、ニヤリと笑いました。
「あ、笑ってる。笑」
「お? 意外と元気かぁ?笑
でもごめんなー、ちょっと身体は苦しい言うてるから、
酸素と点滴させてなー?」
鼻には酸素のチューブ、脱力した細い腕には点滴。
なんか、うわー、って思いましたね。
ドラマの世界。
あっという間に病人の完成、みたいな。
そこからは、個室に移動させてもらい、しばらく待機。
大毅も点滴のおかげで汗が出てきて、
熱が下がり始めたのか、ようやく眠れたようでした。
「すみません、お待たせいたしました。」
そして、大毅が寝てから5分。
先生がカルテを持って戻ってきました。
「いえ、いきなり押しかけてしまい、
すみませんでした。」
「いやいや、病院ってそういうもんですよ?
ぼくはそれより、1人で息子連れてきはった、
お母さんのガッツに驚きましたわー。笑」
はははっ、て、失礼じゃないですか?
確かに大変だったのは、大変でしたけど、
必死だったんです、母親ですから。笑
ですが、そう言われると、
恥ずかしいような、でも嬉しいような。
と同時に、焦ってばかりだった心が、
少しほぐれた気がしました。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時