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「失礼しまーす。」
帰りは、リハビリ後で帰宅ラッシュとかぶり始めるから、
病院まで車で迎えに行っていました。
いつもは車で待っているのですが、
その日は早く着いたから、病院の中まで入ってしまって。
半年ぶりのリハビリ室でした。
ですが、広い上に勝手がわからなくて早くも迷子。
「おかんー! 何してんのー!」
すると、どこから聞こえた、大毅の声。
声がするということは、向こうには私が見えてるはず。
こっちこっちー、という声を頼りに、
ずっと辺りをキョロキョロしていると、
「あ、そこ?笑」
入り口とリハビリ室の間にある自販機の前で、
ベンチに座りジュースを飲んでるのを発見しました。
「お疲れさん。 あれ、お友達?」
その隣には、片足にごっつい器具をつけた、
同じ歳ぐらい、やけどめっちゃ明るい髪色の男の子。
「せやねん!おじいちゃんおばあちゃんばっかの中から、
やっと同い年のリハビリ仲間見っけてん!」
チャラい外見には似合わない、いちごみるく、
とひらがなで書かれたパックジュースをもつ少年は、
ベンチに座ったままではありましたが、
意外にも、やたら深々と頭を下げてくれました。笑
「…かみやまです。」
初めはかなり人見知られてましたね。
目も合わせないまま、名前だけしか言ってくれなくて。
だってやたら若いから、
ヤンママかと思って怖かってんもーん。
あとあと本人に聞くと、そう言われました。
「神ちゃんはな、事故で足の骨折れてもうてんて。
それで、リハビリしてんの。」
飲みほしたカフェオレのパックを苦労しながらも畳んで、
ほい、とゴミ箱に投げ込む、大毅。
骨折かぁ。
そう聞いて、ちょっと複雑な気持ちになりました。
片方は、復帰のためのリハビリで、
もう片方は、悪化防止のためのリハビリ。
神ちゃんは、これが終われば治ったことになるけど、
大毅は、これが終われば、
治る見込みがなくなったことになるのだから。
そんな偏見で初めはこの2人が友達でいていいのか、
とても悩みました。
仲を引き裂いた方が、
後々大毅が苦しまなくて済むのではないか、と。
ですが今では、本当に友達でよかった、と思ってます。
その関係は、
私もそんな存在ほしかったな、なんて羨むほど。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時