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その年の夏休み最終日、
大毅は、部活を辞めました。
夢の甲子園には出場しないまま。
夏の大会には、先輩たちが出場したらしいのですが、
もちろん1年が、
試合に出させてもらえるなんてあり得ません。
部活を辞める時には、
みんなにも病気のことを言っていました。
そしたら、先輩たちは、
先に言ってくれれば一打席でも出させてやれたのに、
と言ったそうです。
大毅が夢やって言うてたん俺らも知ってたし、と。
ですが、そこは、真面目な大毅。
それは違います、とはっきり言ったみたい。
それは、ただの特別扱い。
そんなことは微塵も望んでいなかったんでしょう。
入部して、たったの3ヶ月。
顧問の先生からは、
部員全員が泣いていた、と聞きました。
「ほんまにええの?」
その間、私は担任の先生に、
病気のことを伝えに行きました。
「うん、全然。 むしろ、通えるギリギリまで、
学校におらせてもらえるとか、ほんまありがたい!」
担任の先生は優しかったです。
その時は、ベテランのおばちゃん先生だったんですけど、
クラスのムードメーカーらしい大毅のことを、
本当に好いてくださってて。
「…あの、だいきくんが、ですかっ?」
話をした時は、本当に驚かれてました。
症状を伝えれば、思い当たる節がある、とも。
「…ご迷惑をおかけしますが、」
「ご迷惑だなんて! 私たちは大毅くんには、
いつも助けてもらってます。だから、今度は、
私たちが大毅くんを助ける番なんですよ、きっと。」
大毅くんがいないと3組は成り立ちません。
ぜひ、無理なさらない範囲で学校に通い続けてください。
そう言われた時は、人生で1番と言っていいくらい、
涙が溢れてきました。
「ってか先生、そんなこと言うてたけど、
あんた学校でいったい何してんの?笑」
「えっ? 何もしてないけど?笑」
「毎授業、先生が使う黒板消しの下に、
ゴキブリのおもちゃ隠したりしてんは?」
「…っだってなぁ!? めっっちゃ反応おもろいねんで!?
おとんみたいに、バァッ!、って! くふふっ。」
いつまでたっても大人になってくれないのには、
おかんは、ほんまに呆れました。笑
ですが、誰もがこの明るさに助けられていたのは、
まぎれもない事実です。
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な - 昔から大好きなお話なので、もしよろしければ Wordに内容を書き出させて頂いても宜しいですか? どこかに投稿やアップなどは一切致しません。 (2023年4月12日 23時) (レス) id: 144323ef08 (このIDを非表示/違反報告)
mothernature110(プロフ) - 24時間テレビ出てほしいですよね (2017年4月2日 19時) (レス) id: 167eecf0f9 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すごく感動しました。更新大変だと思いますが、これからもお願いします! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 129d5a1fa9 (このIDを非表示/違反報告)
こためるこ(プロフ) - ほんとに号泣です ;_; もう涙止まりません! 更新頑張ってください! (2017年1月3日 2時) (レス) id: faa6f22767 (このIDを非表示/違反報告)
smile06302050(プロフ) - はじめまして!Twitter絡ませていただきます! (2017年1月2日 23時) (レス) id: a1e554584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉都香 x他1人 | 作成日時:2016年12月27日 20時