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目｢……漫画の中の王子様って何？｣
｢(…ｷﾞｸｯ!!)べ、別になんでもないよ。｣
目｢…いや、気になんだろ、言えよ。｣
｢…な、なんでもないって！
あ、もうほら、午後からの診察の患者さん
待ってるから行こうよ、ね？｣
と言ってバタバタと俺から
逃げようとするA。
…だから、なんでこいつ、
すぐ逃げんだよ。
ﾊﾟｼｯ
｢……あ、め、めめ。｣
目｢…だめ。話すまで手離さないから。
というか、まだお昼だから
そんな急がなくても大丈夫だし。｣
｢……で、でも、｣
目｢言えって。｣
｢(な、なんか圧を感じる…)
そ、そのさ、漫研の時に私が描いてた
漫画の男の子が、｣
目｢…うん？｣
｢…さ、さっくん先輩言わく、
ほぼめめに似てたって言う話を
さっきしてたからそれで
王子様ということになったのではないかと…｣
目｢…は？俺？｣
｢…う、うん。
い、いや違うんだよ！
ただ、自分がカッコいいって思う男の子を
描いてたらそ、そのめめのような
容姿と性格になってたみたいで…｣
Aが顔を真っ赤にしながら
下を向いてそう言う。
……自分がカッコいいって、
でも、あの時、
目｢…でも、A、中学生の時、
佐久間くんのことカッコいいって
言ってたじゃん。
で、俺のことはよく分かんないって。｣
…そうそう。
あれで俺、イラッとというか、
モヤッとしたというか。
｢…へ？そ、そうだったっけ？
あ、さっくん先輩はただ単に
好きな漫画のキャラに
似てたからさ、｣
目｢俺のことは？｣
｢あ、う、うん。
た、多分よく分かんないって
言ったのは…もうその時既に
めめのこと……す、好きでさ、
なんて言ったらいいか
分かんなかったからだと思う…｣
と、Aがさっき以上に
顔を真っ赤にして
声小さく言った。
…なんだよ、それ。
……ずるいわ、ほんと。
あの時、1人でイライラしてた
俺が馬鹿みたいだし。
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作者名：さつき
| 作成日時：2021年7月24日 11時
