1番逢いたくて逢いたくなかった人(黒) (ページ40)

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試験は無事受かった。
ほんと、心の底から安心した。

澪も受かり、2人で喜びをかみ締めあった。

澪｢………は！？？？？
まだ言ってないの！？？｣

｢声が大きいって！！澪！！！｣

すっかり皆進路も決まり、クラスも卒業モードの中
澪の大きい声がクラスに響き渡った。

澪｢いや、さすがの私でも驚くよ！！
家、隣のくせしていつでも言う
タイミングあるでしょ？｣

うぅ、地味に澪の言葉が刺さる。

｢……いや！ほんと言い訳なんだけどさ
あの時から大分経ってるし、
気まずくてさで…。
でね！蓮のお母さん情報によると
蓮も仕事忙しいらしくてで…

はい…タイミング逃しました。｣

澪ははぁー。とため息つきながら

澪｢まぁ、目黒も忙しいのは分かるけど
あんた、いつ引っ越すんだっけ？
明後日だよね？？？｣

｢はい、ごもっともです。｣

そうなんだよね。明日が卒業式で
明後日が引越しというタイトなスケジュール
組んでしまったんだよ。
だって卒業式の余韻に浸ったら
あっち行けなくなりそうだし、
一人暮らしにも早く慣れたいし。

まぁ、澪も同じ大阪に住むけど
引越しはまだ後なんだよね。
頭が良い澪らしくちゃんと考えてる。

澪｢……いや普通そんな急ピッチで
しないから、引越し。｣

｢え、なんで分かったの？？｣

澪｢あんた、いつも顔に書いてあるから｣

蓮にも言われたなー。それ。

ふと、あの時のことを思い出していた。
真剣な眼差しに何か言いたそうな表情。

どうしよう、私。気まずいけど
ちゃんと大阪に行くことぐらいは言いたいな。

……でも言えないのが私でして。

結局言えずじまいで澪には怒られたけど
これで良かったと思ってる。
あんなこと言った私の事もう何とも
思ってないだろうし、蓮は。
仕事も忙しいだろうし。

専門学校に行ってからは早かった。
毎日、バイトしながら課題をこなす日々で
大阪の街並みにも関西弁にも慣れてきて
澪とも相変わらずで週に1回は会っていて
初めての彼氏もできてそれなりに楽しかった。

ただ、時折あの時の蓮の顔を
思い出しては胸が痛くなる。
彼氏とも何故か長続きしなかった。