【プロセカ】短編集 (ページ10)

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2-4＊神代類＊(終) ページ10

「君がどうしても今は信じられないと言うのなら、僕の気持ちを受け入れるまでの期間を設けても良い。突然の事だったからね」

「そこまで…」

ここまで引き下がってくるとは正直思っていなかった。これは本気だ。

私が恋をした人。相手がこんなにも私を好きだと伝えてくれている。その覚悟がどれ程のものなのか…最初から分かっていた。好意に偽りなんて無いって。先輩の言葉が心に染みていた。なんだか泣きたい気持ちになった。
柔らかい風が、私の身体をくすぐるように流れていく。

「それともまだ、僕だけでは役不足かな？」

そう言いながら、先輩は少しだけ屈んで視線の高さを合わせてきた。
私もできる限り、彼の想いに応えないといけない。勇気を出して言うことにした。

「ありがとうございます。誰かに好かれた事がないので素直に嬉しいです。
その…私は先輩の事、全く想ってない訳ではない、ので。ただ、まだ気持ちの整理がつかないので…少しだけ待っていてもらえますか…？」

「フフ、勿論そのつもりだよ」

先輩は綺麗な紫色の髪の毛をふわりと揺らし、微笑んだ。

「立ち話をしてしまったね。寒くは無いかな？良ければこのコートを使うと良いよ」

「大丈夫です…」

「それは良いって事だよね、どうぞ」

「あれ、これはお断りという意味なんですけど…もしかして私達、住んでる国とか違います？」

本当に話が通じない。聞いてるのにとぼけるから厄介だ。気付けばコートを着せられていた。できる男ですかそうですか。顔が良いからこういう気遣いが尚映える。罪な男だ。

「君は本当に面白いね。アピールは既に始まっているから少しでも好感度を上げたいのさ」

「先輩は遠慮する事を知った方が良いと思いますよ」

「…考えておくよ。さぁ、帰ろうか」

先輩が手を差し出してきたので、恥ずかしいけれど素直にそっと自分の手を添えた。お互い緩く手のひらに力を込めると、私達はゆっくり歩きだした。

次の日から毎日ドロドロに甘やかされてアピールされたり、同学年の知り合いに「見せ付けんな。今はブラックコーヒーが飲みたい気分だ」と不平不満を言われたり、最終的には寧々にも「いい加減くっついて欲しい。類が毎日相談してきてうるさいから…」と懇願されたり。

そのうちもう一度恋をして、こちらから先輩に告白をするのはそう遠くない話である。

学生のうちに結婚とかはやっぱりまだ考えられないから、プロポーズは数年後にもう一度してもらうって事で。