【プロセカ】短編集 (ページ5)

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1-5＊天馬司＊ページ5

不思議な話だとは思うのだが、思春期を迎える前まで、私の実の妹ではない咲希ちゃんに対して(兄ほどではないが)とても可愛がっていて、今の彼のように熱を出したと聞いた時は急いで看病しに走ってきていた。その際に咲希ちゃんにした行動を彼は言っているのだと思う。

なんだこれなんだこれ。あの天馬司のお願いが、こんな。可愛い、と素直に思った。母性本能がくすぐられるというのは、こういうものを指すのでは？

脳内はパニックを引き起こしているが、そんな所を見せるわけにはいかない。そろりと手のひらを彼の頭に乗せる。そして静かに撫でてみた。

「はぁ…なるほど、これほど咲希が羨ましいと思ったことはないぞ。A…もう少し、撫でてはくれないか」

頭を私の手のひらに擦り寄せ、頬を緩めながら言われる。顔面の良さも相俟ってこちらは甚大なダメージを受けた。

「ぐっ…わかった。お粥を食べてる間なら。
はい、どうぞ。勢い良く食べたら胃に良くないから、少しずつ食べてね？」

「あぁ、心得た。…うむ、うまいな」

ゆっくり食べ進める彼を見つめながら、私は彼の頭を撫で続けた。妹思いのお兄ちゃん。何事に関しても自分の事は二の次に考えてしまう、未来のスター。そんな彼がいつかは私を一番に頼ってくれると良いなぁと思った。
…いつもお疲れ様、司。