【プロセカ】短編集 (ページ12)

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4-1＊青柳冬弥＊ページ12

放課後。掃除当番の青柳冬弥はクラスのゴミを捨て、教室へと来た道を戻ろうとしていた。
その際、今日は何となく普段は通らないルートを通って戻ろうと考え、環境保護委員が綺麗にしている花壇の道へと足を向けた。

その場所は色とりどりの花が植えられている事で女生徒からの人気が高いらしい。美化委員からも太鼓判を押されているらしく、白石杏から力説されたのを思い出した。

花壇の道に差し掛かった所で、ガサガサという物音が聞こえてきた。冬弥はその音の出所で花壇を呆然と見つめる女生徒＿Aを見て、声を掛けた。

「A？何をしているんだ…？」

「冬弥くん…！？ぁ…こんにちは」

「？こんにちは。困った顔をしているようだが何かあったのか？」

「ぁ…その、」

Aは迷子のような顔をしていた。いつもであれば誰に対してもふにゃりとゆるんだ笑顔を見せているのに。

理由を聞くまで立ち去ろうとはしない冬弥を見てはぐらかす事を諦めたのか、ぽつりぽつりとここにいる理由を話し始めた。

「家の鍵が見当たらないの。今朝ここの花壇で土いじりと水やりをしていたから、もしかしたら作業中に落としたのかもしれなくてっ…」

「…そうか」

今にも泣き出しそうな顔をしていたので、彼女の右肩にそっと左の手のひらを置いた。

「探すのを手伝おう」

「えっ、でも…」

「遠慮しなくて良い。ただ、教室に荷物を置いてきている。取りに行ってからでも良いか？」

「それは良いけど…本当に？一緒に探してくれるの？」

「あぁ。理由を聞いたのは俺だ。聞いたからには置いて帰るわけにもいかないだろう」

彼女の側に行って分かった事だが、手袋をしていない指先は土だらけになっており、探し始めて時間が経ったのか、その額も汗ばんでいるようだった。

Aと一度別れた冬弥は教室に戻り、カバンを肩に掛けた。そして制服のポケットからスマートフォンを取り出すと通話アプリを開き、自身の相棒＿東雲彰人に発信した。

「あぁ、彰人。今良いか？…申し訳ないが今日の練習に参加できなくなってしまった。小豆沢と白石にも伝えておいてほしい。…あぁ、直前の連絡になってしまった。すまない。遅れは明日取り戻す。…あぁ、今は時間がないんだ。理由も明日話そう」

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