【プロセカ】短編集 (ページ2)

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1-2＊天馬司＊ページ2

「そうなの…？もし良ければ、私に任せてくれないかな」

彼氏がそういう状況なら、お見舞いに行くのが道理ってものだよね。家族も困っているから尚更。

『いいの…？じゃあお願いしても良いかな？お兄ちゃん、Aちゃんと出掛けるのをとっても楽しみにしてたから…良ければ会いに来て欲しいの！』

「うん、大丈夫だよ。とりあえず薬局に寄ってから行くね！薬はある？」

『探してみたんだけど無さそう…ついでに買ってきて貰っても良いかな？あ、お金は後でお兄ちゃんに請求して良いからね！』

「了解。それじゃあ」

＊

「色々買ってたら少し時間が経っちゃったな…」

必要な物を購入して、天馬家へと急いで向かう。咲希ちゃんが「家の鍵は掛けないでおくね！」と言っていた。勝手に上がるのは気が引けるけれど、咲希ちゃんから了承を得たし良いよね。
誰に責められている訳でもないのに、歩きながら悶々と考えた。

「着いてしまった…。よし、お邪魔しまーす…」

こうなったら勇気を持って行くしかない。ビニール袋を抱えながら、私は静かに天馬家の敷居を跨いだ。

「天馬の部屋は…あそこだっけ」

幼馴染みとはいえ、さすがに人の部屋に断りも無しに入ることは無作法だと思うので。彼の部屋の扉の前に立ち、一度深呼吸をする。落ち着いた所で、軽く三回ノックをしてみた。

「咲希か…？帰ってきたのか？バイトは休むなと言ったはずだぞ…！」

「えーっと…私。Aだよ」

無言の時間が数秒。すると部屋の中でガシャーン、ドタバタ、と物音がしたかと思うと、静かに扉が開いた。

「なぜお前がここに…？」

わざわざ会いに来た彼女へ投げ掛ける言葉がそれか…？目を見開いている彼の目の前で、私はわざと深いため息を吐いた。

「お見舞いだよ。あんた熱出したんでしょ？ご両親も咲希ちゃんもいないって聞いたから。咲希ちゃんからはちゃんと了承貰ってるからね」

「そ、そうか…いやしかし」

「何、まだ何か不満でもあるの？もう色々買ってきちゃったし、部屋入れてよ」

「なんだ、その…お前にカゼを移してしまうだろう…？」

往生際が悪い。私に対して遠慮するなんて彼らしくない。それほど弱っているのだろうか。