毒占欲。2【川村壱馬】

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Aside






『壱馬』




壱｢んまあ、とりあえず行くか



話は、それからやな｣



そう言って私の手を取って歩く壱馬


泣きそうになってた私に壱馬が付けてたマフラーを私の首に巻き付けてくれた


泣いてるの、バレないようにかな


そんな優しさもすごく身に染みる


握ったまま、離さない手


夜風が当たって冷たいけど、手だけは温かい


分かってる


私がはっきりしないから


しょごくんにも、まことにも


壱馬にも


迷惑をかけてることなんて


でもね、


どうしたらいいかわかんないの


しょごくんには、また好きにさせてみせる、って


まことには、後悔してる、って


ここではっきり断れたらどれだけいいんだろう


でも断れないのは


私がまだ未練があるから


それに、私には分からない、なにかモヤモヤする感情が






壱｢A、今、何を思ってる？｣



前を歩いてる壱馬の顔は見えない



『…私って、最低だなって』



『みんなに迷惑かけて、ハッキリしなくて』


『もう、やだなあって』



『ごめんね、壱馬まで、こんな気分にさせちゃって…』



そう言うと壱馬は歩くのをやめる



壱｢俺は、迷惑なんて思ってない｣



壱｢今はAのそばにいたい、そう思ったから、やから…｣



壱馬は振り向き私と目が合う



壱｢好きなだけ、俺を頼ってや｣




なんで壱馬はこんなに私に優しくしてくれるんだろう




また心の中でモヤモヤがひとつ増える





そして、弱い私はその優しさに甘えてしまうんだ

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