止まらない、止まれない【usss】 (ページ8)

今日:8 hit、昨日:5 hit、合計:54,309 hit

・ページ8

私はあの後、恥ずかしさでセンラから身を隠す様にタオルケットに包まった。

ミノムシみたいで可愛いなあと、タオルケットの上からポンポンと手を置かれた事も中々に恥ずかしかったのだが、それも無くなり、数十分は経ったであろうか。

ようやく身体の火照りも落ち着いて来た頃に、タオルケットをゆっくりと離した。

センラは既に、私から少し離れた所の椅子に座っており、スマホを片手にゆったりと寛いでいた。

何やら話を聞く分に、今日から一週間一緒に過ごす相手が来るらしい。

こうしてセンラが目の前に現れたのだから、きっとセンラが1番目なのだろうと思っていたのだが、そんな事は無かった。

どんな人が来るんだろうか、と少しそわそわしながら、センラの方を見ていると、私の視線に気付いた瞬間に、ニヤッと言う効果音がつくかの如く、右の口角を上げてから、スマホをポケットにしまいながら此方に近付いて来た。

ふと、また何かされてしまうのでは無いかと警戒し、タオルケットをきゅっ掴む。

「なっ、なんですか…！」

「そんな警戒せんといて」

タオルケットを握っている私の手を、センラは優しく包み込み、怖がらせるつもりは無い、とそう説いた。

もうそろそろ着くみたいや、とセンラは言うと、瞳の奥の奥を覗き込むかの様に、私の目をじっと見つめて来た。

突然の事に困惑し、ぱちぱちと瞬きを繰り返していく内に、なんだか真剣な顔で見られている事が恥ずかしくてなり、つい視線を逸らしてしまった。

その時だった。

センラが、ぎゅっと私に抱きついて来た。

「セ、センラさん…！？」

「……っ～！」

初めてセンラの事を呼んだその瞬間、センラが私を抱き締める力が少し苦しい程に強くなる。

「く、苦し…」

「…可愛いな、本当に…」

「かわっ…！？」

可愛いと言う言葉にセンラの顔を無意識に向こうとするが、力強く抱き締められている為、センラの様子を伺う事が出来ない。

一体センラの中で何が起きたのか、この原因の張本人であろう自分にもよく分からなかった。

「そろ、そろ…センラさん…ギブ……」

ぎゅっと抱き締められ、センラの温もりを感じながらも、このままでは呼吸困難になりそうだったので、センラの背中を指先でトントンと叩くと、センラの体が一瞬ぴくりとし、私を抱き締める力も徐々に弱まり、私の体から離れた。

「っ、はあ…センラさん、本当にきつかっ……！！」

目の前にいたセンラの顔は、真っ赤に染まっていた。

.