止まらない、止まれない【usss】 (ページ28)

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突然何だと思い思わず固まってしまうと、坂田はも～と不満げな声を出しつつも、私をぎゅうっと包み込むように抱き締めて来た。

そして一言。

「おかえり」

「っ……た…だい、ま…」

たった四文字のその言葉に、胸がいっぱいになって、何故だか涙がぽろっと溢れた。

そこから、せきをきったように涙が溢れて止まらない。

こんなに暖かいおかえりは人生で初めてだった。

泣きじゃくる私を、坂田は離さないとでも言うように強く強く抱き締めてくれて、その時にふわりと香った坂田の匂いが何処か懐かしく、心地良く感じて、ぎゅっと、背中に手を回し抱き締め返す。

坂田は私が抱き締め返した事に気付き、少し抱き締めていた力を緩めると、私の額に触れる程に軽いキスを落とした。

「ああ…ホンマに好き。大好き……。まだ二日目やけどさ、こんなにもAの事好きになってもうてるんやで？…はあ…一生離したくないわ、Aの事」

何でトップバッターなんや！！と天井に向けて嘆く坂田に、ぷっと思わず笑う。

「ちょっとは落ち着いたか」

「…うん、有難う…でも、ど…どうして…？」

抱き締めてくれたの？と肝心な所は恥ずかしくて濁してしまったが、坂田は私の言葉を聞きふっと笑うと、大好きだからやで。と雲ひとつ無い晴れた笑顔で私を見てそう答えた。

「公園で家の話とか聞いた時にさ、Aの事守ってあげたいって思ったんよな。一目惚れで直感的に好きって思っとったけど、そう思って正解やったわ。今は心の底から好きやしな」

坂田は講義が終わった後に見た、あの時の様な表情をしながら私を見つめていて、この優しい眼差しがとても心地良く、私も緩く目を細めてしまう。

「…何か…下から見つめられてると、ドキドキするな」

「え…今までも同じだったじゃん」

「…何でやろ、な…？」

普段通りの坂田に戻った。

ふふっと思わず笑みを溢すと、坂田が勢い良くぎゅっと私を抱き締め、ぐぇっと言う声が漏れる。

「さかたくん゛！？」

「いやぁ…今の顔反則やろお……」

「苦゛しい゛けど！」

「ああ…」

「さがだぐん゛！！？」

「わ！？すまん！！」

どんどんどんと勢い良く背中を叩き、自分の世界に入り込んで居たであろう坂田を、現実世界に引きずり戻した。

「苦しかったんだけど！」

「ごめん、Aがめっちゃ可愛くて」

とストレートに言葉をぶつけられた。

「……その顔、満更でもない…？」

「………うん」

「っ～！！」

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