止まらない、止まれない【usss】 (ページ27)

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「は？」

「え…ど、どうされたんですか…？」

店員は先程とは違い、表情をも失くし、何処を見ているか分からない程虚ろな目をしているのだが、じぃっと私の方を凝視している事だけは分かる。

何だか嫌な予感がして、ごくりと生唾を飲んだ時、店員が近くのバーカウンターに向かおうとした。

それを見た坂田が急いで、行くでと私の背中を押したので、レジ袋をさっと受け取りコンビニを早足で出る。

ほんの少しコンビニから離れた所で、後ろを確認しながらスピードを落とし、誰も追いかけて来て居ないと分かった所で、コンビニに入る前と同じ位の歩幅に戻る。

「何やったんやあいつ、突然Aに言い寄るなんて…。そんな素振り見せてなかったやん」

このコンビニには初めて来たし、ましてや二人きりでコンビニに来た私達は、側から見たら恋人同士だと思われてもおかしくはない筈なのに。

それにあの虚ろで、目の前の私達を映して居ない瞳…。

得体の知れぬ恐怖を感じて身震いする。

「A、大丈夫か…？」

心配そうに私を見つめてくる、私を瞳に映す坂田が先程の店員と対照的で、その安心感に涙が出そうになった。

「もうそろそろ家やけど、大丈夫？」

「…うん、大丈夫」

坂田は家に着くまで、私の歩幅に合わせて隣りを歩いてくれた。

五分もしない内に、坂田は着いたで、と私に声を掛けてくれた。

坂田はこの大学に入る為に上京して来たらしく、アパートの一室を借りて一人暮らしをしているという話を聞いていた。

慣れた手付きで家の鍵を開けると、私を招き入れた途端に、あー！と叫んだ坂田はちょっと待ってな！！と玄関前に私を留めた。

リビングであろうか、少し先に見える扉に急いで飛び込んだ坂田は、ガチャガチャと大きい物音を立てながら何かをし出した。

取り敢えず、鍵だけ閉めておこう…と、ガチャリと鍵を閉めた。

「お待たせ！」

と、扉から坂田が多少汗だくになりながら出た来た。

「何してたの？」

「……片付けてた」

来客が来る等思っても見なかった坂田は、家に入った途端に今まで放置してた微量のゴミを思い出したようだった。

「もう綺麗やから！安心してや！」

「まず汚いなんて思ってないよ」

そう言うと、坂田はあからさまに分かりやすく、ホッと一息ついた。

「…あ」

と、坂田が一言言葉を放った。

「何？」

と聞くと、坂田は目の前で両手を広げた。

「おいで？」

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