止まらない、止まれない【usss】 (ページ21)

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カーテンの隙間から差し込んでいた光を見て、カーテンを開けた。

胡座をかきながら、まだ眠いと日に当たっていた坂田は、徐々に目が覚め、改めておはようと先程よりも明るく、それこそ太陽の様な眩しい笑顔で私に微笑んだ。

朝食は7時と決まっていたのが、両親とこれから対面すると考えると気まずい。

しかし、坂田には先程見た光景の事なんて言える訳がないのだから、我慢しようと決めた。

時刻通りに下に降りると、いつも通りの両親が居た。

会社に向かう時間が私の家を出る時間よりも早い為、既に朝食を食べていた父親。

そんな父親を背に、料理の後片付けをしている母親。

一つ違う事があるとすれば、坂田が来た瞬間に父親が坂田を睨んだ事。

坂田はそれに気付いておらず、母親にお料理頂きますと声を掛けていて、少しホッとする。

それ以外は、私にとってはいつも通りの朝なのだ。

「A」

「っ、はい」

コーヒーを飲みながら、父親が私には目もくれず話しかけて来た。

坂田はまた父親の空気を感じ取ったのか、私の手をそっと取り優しく握ってくれて、思わずその手をきゅっと握り返した。

「飯を食べる気が無いなら、今すぐ準備をして家から出なさい」

昨夜に追放を宣告された訳だが、そんなにも早く私に、いや、私と坂田に出て行って欲しいのか。

嫌いでは無いと言っていた、言っていたがやはり、遠回しでも要らないと言われると応えるものがある。

思わずぐっ、と坂田の手を握っている手に力を込めたと同時に、坂田が息を吸った音が聞こえた。

「お父さん」

「……君に、そう呼ばれる筋合いは、一切ないが？」

「…Aの事、僕が幸せにして良いんですね」

「………」

「Aは、僕が幸せにします」

そう言った坂田の手は震えていて、その振動で私の腕辺りまでもが小刻みに揺れていた。

行くよ、と坂田に手を引かれ廊下に出る。

「勝手にしろ」

と言う父親の声が聞こえて来たのは、きっと聞き間違いではない。

坂田に手を引かれながら部屋に戻り、ドアをパタリと閉める。

「こ、怖かった～～～！」

と恐怖で引き攣った顔をした坂田が、安堵を交えながらそう言った。

どれだけ怖かったのかは、あの震え具合を感じれば分かる。

坂田は、言っちゃ悪いとは思うねんけど、と前置きを置いてから、なんやあの態度！やら、あの場でお父さんじゃなかったら何て呼べばいいねん！やら愚痴を溢し出し、ぷんぷんと怒る坂田に思わず笑ってしまった。

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