鹿野院平蔵 ページ8
※少し卑猥
「んんっ……もしかして、怖気付いてる？」
恋人の平蔵に首を舐められ、生暖かい唾液や舌のややざらざらした感触に身体がぴくぴく震えて変な声が出そうになる。その中、突然顔を上げてわたしの様子を尋ねてきた。
「僕が君を抱きたいって言ったけどさ、どうしても嫌なら断っても良いんだよ？」
事の発端は、彼がわたしを抱きたいと言い出したのが始まりだった。恋人だし良いと思っていたが、まさかここまで怖いものだとは思わなかった。
恋人とは言えども他人に身体を預けて、最終的には貫かれる。初めてだからだけどそれが堪らなく怖くて痛そうで、変な震えまで起こしていた。
「嫌がる好きな人を抱いたって、僕は興奮しないし……まあ、そういう設定でやりたいなら別に構わないよ。Aのしたいことは全部したいし」
その間も、馬乗りだがわたしの上半身の輪郭を丁寧に指先でなぞっている。彼なりの最大限の譲歩な状態だが、胸やらその先端にまで布越しだがなぞられる時もあるので気が気じゃ無い。
「あっ、またぴくぴくって小さく跳ねてる。顔も真っ赤で目もきゅってつむってる……僕のAは何しても可愛いね」
海老茶色の幼さの残る眼差しだが、どこか興奮したような色を含んでいる。
「怖がる様子も可愛い、いじめたい。でも、これはちゃんと別って分かってるよ。この世で掛け替えのない一番大事で大好きな人が、嫌がる上に痛がることはさせたくない」
平蔵はズルい、どうしてこの場でそんなこと言うの。断りにくいし、自分がしょうもないことで悩んでいると思われているみたいだ。
「女の子って受け止める側だから、痛いよね。僕にとって生きている間は感じ取れない痛みだから、我慢で応援するよ」
朗らかに笑みながら、顔を近付けて唇に接吻を落としてくる。優しくて労わるような慈愛に満ちた触れ合い方。でも、唇同士の触れ合う音が室内にやけに響いて恥ずかしい。
「ん、ん、っ……どうしたの？僕の胸を触ってるけど……楽しい？」
上に覆い被さったままの平蔵の胸板を撫でる。見た目は優しい輪郭の少年だが、中身は逞しい男に向かっている真っ盛り。一緒にお風呂に入ったことはあるので裸を見たことはあるが、案外素敵な身体をしている。見た目も中身も好きな人に弄ばされたい。それを伝えると、覆い被さっている彼は驚いた表情をしたが、嬉しそうに赤らんだ顔で笑った。
「分かった、これから君を好きなように抱くからね。後で泣いても知らないよ？」
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