ヌヴィレット ページ15
※「どんな時もあなたには優しい風が吹いている」の後日談
「久しいな、風の龍の娘殿」
どうしよう、誰だろう。知らないよ。
一緒に旅をしているウェンティと共にフォンテーヌに訪れたら迷子になって、目の前に青い色がとても似合う青年がわたしの前に立っていた。人気の無い場所で出会ったから、困惑しか無い。そして、何故か会釈もされる。そして、わたしの両親の内のドラゴンと面識があると付け加えた。ちょっと待って、生きていたのは数百年前の話だと思うのだけど何でその話を平然としているのか。
そして何故か、ヌヴィレットと名乗った青年にお呼ばれした大きすぎる豪華な建物内に招かれてお茶やお菓子を共にした。確かに美味しいけど、落ち着かない。
「此処の水神より大人びている。それより、雪山から出ているがどうしたのだ」
ここまで雪山の引きこもりの龍って話があったのか、恥ずかしすぎる!
頭でごたごたしてて、そっと近寄る気配に驚いて顔を上げる。垂らした頭を上げると、整い過ぎた顔が間近に見える。何でそんなに近いんだと思っていると、彼に腕を伸ばされてそっと抱き上げられる。
「随分と軽いな、しっかり食べているのか?風神はしっかり見ていないのだな」
何でこの人の膝上にいるのか、そして頭を撫でられる。ゆっくりゆったり、大きくしっかりいた手がわたしの頭を覆ってもいる。いつもウェンティに撫でられているから、それが新鮮でたまらない。落ち着かない度が上がった。顔を押さえて、必死に耐える。だって暴れても、むこうの絵面は全然変わらないから。それにウェンティに力負けするレベルで、こんなに大の大人に組み込まれたら絶対に逃げられないのは明白。
「……我々は同じ龍だ、これからで構わない。どうか仲良くして欲しい」
ん?今なんと?龍?
驚いて顔を上げると、青い瞳が優しく笑んでいるようにも見えた。頭から手が移動して、頬を撫でられた。
「はーい、ここにボクの恋人がいると聞いたよ。君は何をしているの?ボクのAを拉致してるところ?それは良い覚悟だね、奪い返す為に七神最弱でも頑張っちゃうよ?法律なんて知るもんか」
扉を蹴破る勢いで入室して来たウェンティは、弓を手にしながら寄って来た。笑っているけど笑っていない瞳だから、すごく怖い。
「そうか、風神。独占欲は彼女だけでなく自身も滅ぼす」
「良いもんねっ、好きな人の為に自分の全てを捧げられたら一番だもんっ」
何でわたしを放してくれないのかな、怖いよ。
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