万葉の親友 ページ2
※捏造しかない
彼との出会いは、万葉が連れて来たことからだった。
当初はお互いに友人の友人という気まずい関係だったが、万葉と一緒に3人で遊んだり稽古をつけてもらったりした。おかげさまで、彼とは2人だけになっても大丈夫になった。
「にしても、生き難いな」
目狩り令のせいで、彼と万葉は神の目を持っているのでこそこそ生きることを強いられている。今だって、真夜中の人気が無い場所で会っている。本当に、冗談抜きでこんな感じでしか顔を合わせられない。
「なあ、お前はこの世の中が今より生き易くなったらどうしたい？」
また万葉と彼との3人で堂々と美味しい店を巡ったり、お祭りがあったら参加したり、3人で楽しめることをたくさんしたい。それを隠さず伝えると、彼は大きな溜め息を吐いてぶっきらぼうに言葉を吐いた。
「どういう感情で聞けば良いんだよ……気持ちは同じで嬉しいっちゃ嬉しいが……」
後半からは尻すぼみ気味で、何を言っているのか分からなかった。聞き出そうとしても、「聞くな、今の俺を見るな！知らなくても生きてけるだろ！」と言われる。何で顔を真っ赤にしているのか。
万葉も彼も端正な顔立ちと柔らかい髪色とで、美形が相まっている。それなのに得をしないと、どの口が言うのかと文句を言う。
「……美形や綺麗より、お前にはカッコいいと言われる方が良いけどよ……」
不服そうな顔でそっぼをむく。また小さい声で聞き取れなくて、聞き出そうと躍起になる。せっかく友達といるのに、もごもごしてるとかあり得ないから。
「Aに好かれたいだけだ！悪いか！？」
捲し立てて、大声で張り上げた。周りより、自分に降りかかった衝撃が強い。ぽかんとしていると、夜の暗がりの中でも分かるくらいに顔を真っ赤にした彼と目が合う。
「あのなぁ。俺と仲良くしたい気持ちはありがたいが、万葉と付けられると嫌に決まってるだろ。俺だけを見ろ、他は見るな」
今度は真剣な表情をし、近付く。
「急に怒鳴って悪かった、俺の気持ちだけは覚えてくれ。しなきゃなんねえことがあんだ」
そのまま、わたしの横を通り抜けて行った。何だか最期の会話になりそうな気がして、胸騒ぎが強かった。
「先程は言いたいことを言いそびれたように窺える」
「趣味悪いだろ、万葉」
「ああ、雰囲気や表情で大方は分かる。しかし、そのままであれば拙者も彼女に言いたいことを言わせてもらおう」
「んなことさせっか、頭の固いお偉いさんに直談判してやる」
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