トリ(ELLSWORLD) ページ27
「お帰りなさい、ハニー……って、どこ行くのよ」
用事を終えて帰って来たAの眼前には、茶髪のややくせ毛が目立つ赤い服が似合う女性がいる。彼女はにこにこしながら、恋人を呼ぶように親し気にAに近寄る。しかし彼女は一瞬背を向けたが、赤い女は許さないと言わんばかり肩を掴んでくるりと自身に向けさせた。一連の行動は無駄が無く素早いもので、Aは驚きを隠せない表情で赤い女を眺めていた。
「アナタの素敵で可憐で従順なアタシを忘れたの?今日は遊びに来ると言ったじゃない!」
優しく諭すように、しかし猫撫で声みたく甘ったるく語り掛ける。それを諸に食らうAは、目を丸くしてその相手を眺めるだけで反応が他にない。
「もう、ニブチンさんなんだから……そーゆーところも好きだからホントに罪深いものねえ、アナタって」
小さく体をくねらせ両頬に両手をそれぞれ添え、頬は紅潮しており明らかにAに対する好意を示しているに他ならない。ニブチンと言われた彼女でも分かるようで、しかしどこか納得していない表情で赤い女を未だに訝し気に眺めている。
「そんなに熱心に眺めないでちょうだい、いくらハニーでも恥ずかしいわ……」
照れる様はまるで恥じらう乙女のように可憐に見えるが、一方Aは不気味さを隠しきれない表情で彼女を見つめている。
「ところで、何で今日は警察に行ってたの?怖いことがあるなら、最大の理解者であるアタシに相談してくれても良かったじゃない」
Aが用事で留守にしていた理由は、警察へ向かっていたからだ。彼女はずっと付き纏う何者かの視線と気配に悩まされていた。その為に、警察に行っていた。しかし、警察からは良い返事を得られずにしょげて帰ってきた所だ。
「もしかして、アナタを狙う人が他にいるってこと?そんなヤツ、アタシが殺……じゃなくて、懲らしめるわ」
赤い女は、目をぎらつかせて憎き顔も知らぬ相手を想起した。Aはそこまでしなくて良いと言うような言動をした。彼女はただ、平穏な生活を送りたい様子にも見える。
「ハニーったら、情けをかけなくて良い相手に情けをかけちゃらダメよ。Aがとても慈愛に満ちて優しいのは分かってるけど、付け込まれたら最悪よ?」
途端にAは震え上がった。自身の名前を知らない筈の初対面の相手に、自身の名前を知られているからだ。
「大好きな人のことを常日頃、一挙一動を見逃さず見守るだけじゃ物足りないの。だから護らせて?」
マット(Future)→←エル(ELLSWORLD)とタマラ(ELLSWORLD)とマチルダ(ELLSWORLD)
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cocoa(プロフ) - 女主でお願いします!百合が好きで(( (6月26日 20時) (レス) id: 59dcdcfe07 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - cocoaさん» ご返信ありがとうございます。もう一つお尋ねしたいのですが、夢主は男女どちらでしょうか?女性キャラがお相手ですので、一応までに。 (6月26日 20時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - ありがとうございます!ELLSWORLDの四人組に歪んだ愛情を向けられるシチュエーションでお願いしたいです。難しいお願いですが何卒宜しくお願い致します。 (6月26日 20時) (レス) id: 59dcdcfe07 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - cocoaさん» コメントと感想ありがとうございます。元から女性キャラとのお話は書くのは好きなので、そう仰っていただけると嬉しいです。リクエスト承りますので、シチュエーションとキャラクター名を記載してください。 (6月26日 20時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - コメント失礼します!さとうみさんの書くELLSWORLDがとても好きで(もちろん他の話も大好きです)もし差し支えなければELLSWORLDのリクエストよろしいでしょうか? (6月26日 19時) (レス) id: 59dcdcfe07 (このIDを非表示/違反報告)
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