トード ページ25
体にあった傷は癒えた、でもここ最近は同じ景色しか見られていない。
「おっす、大丈夫か?ん?飯にまーた手を付けてないのかー……痩せるばっかだぞ?ダイエットの本来の意味はな、規則正しい食生活だからな?そこは履き違えちゃダメだぜ」
赤い服を着た、ラフな格好なリーダーが一方的に喋ってくる。
わたしは彼の下に仕える軍人なのだが、連日ケガをしたのと最後に出た任務では大ケガを負って生死を彷徨う程になった。次に目を覚ますと、この部屋にずっといるようにリーダーに命じられてしまった。そのせいで、悪い意味で平和に過ごせている。
「まあ、そんな目すんなって。ほら、オレが直々食わせてやるから」
そう言いながら、食べ物が突き刺さったフォークを無理やりわたしの口の中に捩じ込む。ぎうぎうと音が聞こえているみたいな力強さで、目が回りそうになる。その上、頭を撫でるので鬱陶しいことこの上ない。
「……ところでさ、話は変わるんだけどよ。オレ以外の輩でも考えてるか?いーっつもそんな面してるぜ?」
食後に急に目付きが鋭くなって、声も同様に冷たくなる。急激な変化で、動揺するように心臓の脈打つ速度が無意識に無意味に早くなった。
実際にそうだ、ここに来て初めてできた友人2人が恋しく感じる。フランクに話しかけるポールとか、その人の友達ながらも冷静でもしっかり言葉をかけてくれるパトリック。今頃どうなっているんだろうか、分からなくて辛い。
「やっぱアイツらかー……まあでもよ、外では君は死亡扱いにしてっから、アイツらも君のことを悼んでいるところだぜ」
突然のセリフに脳内がフリーズする。死亡扱いという言葉に、脳みそが思考を拒んでいるようにしか感じられない。
「えっ、ショック?うーん、そうか?もうAのことを傷付ける輩も……生存認知する存在も。どっちも現れないんだけどな」
後者はすごく嬉しそうに言い放った。どうしてか意味が分からずに彼を見上げていると、にこにこと不気味に感じる笑顔を貼り付けたままで続けた。
「この軍隊に入る前からAを知ってたし、君が欲しかった。だから、ボロボロの君を見てチャンスだと思った。幸いオレ1人しか目撃現場にいなかったから、このまま紙面上で死なせておいたってところ」
悪びれもせずに恍惚気味に語る姿は、最早人外の思考に取り憑かれた存在としか思えなかった。
手を伸ばし、そのまま優しく抱き止められる。その腕はまるで鎖のようなものを感じずにはいられなかった。
エル(ELLSWORLD)とタマラ(ELLSWORLD)とマチルダ(ELLSWORLD)→←ラリーとビング
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cocoa(プロフ) - 女主でお願いします!百合が好きで(( (6月26日 20時) (レス) id: 59dcdcfe07 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - cocoaさん» ご返信ありがとうございます。もう一つお尋ねしたいのですが、夢主は男女どちらでしょうか?女性キャラがお相手ですので、一応までに。 (6月26日 20時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - ありがとうございます!ELLSWORLDの四人組に歪んだ愛情を向けられるシチュエーションでお願いしたいです。難しいお願いですが何卒宜しくお願い致します。 (6月26日 20時) (レス) id: 59dcdcfe07 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - cocoaさん» コメントと感想ありがとうございます。元から女性キャラとのお話は書くのは好きなので、そう仰っていただけると嬉しいです。リクエスト承りますので、シチュエーションとキャラクター名を記載してください。 (6月26日 20時) (レス) id: 563e8e19e1 (このIDを非表示/違反報告)
cocoa(プロフ) - コメント失礼します!さとうみさんの書くELLSWORLDがとても好きで(もちろん他の話も大好きです)もし差し支えなければELLSWORLDのリクエストよろしいでしょうか? (6月26日 19時) (レス) id: 59dcdcfe07 (このIDを非表示/違反報告)
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