近くも遠いものを見るアンスリウムは何思う ページ5
トードに好きな作品のキャラクターのぬいぐるみを貰ったので、そのお返しと考えたが何にすれば良いのか分からない。相手を知らない証拠なんだなと落ち込みつつ、ふらふらした。
「おいアンタ、何してんだ？」
その中でトムと出くわす。恋人の同居人の1人だから、もしかしたら適切なアドバイスをくれるかもと事情を話してみる。すると、彼も今のわたしがしているであろう悩みを含んだ表情になった。
「俺とアイツが仲良くないのは知ってるだろ、その相手に求めるか？……まあ、アンタの頼みなら付き合うが」
何だかんだ言って付き合ってくれるので、トムと一緒にお返しの品を探す買い物に出る。お互いに予算とか相手が好きそうなものを言い合ったりした中、良さげなボールペンを見つけた。その店でラッピングをしてもらって、丁寧に袋に入れてもらった。
それをしてくれた店員さんに多大な感謝が溢れるけど、もっと感謝しなきゃいけない人が今身近にいる。その彼が好きそうな酒屋に訪れる。
「酒でも飲む気か？……は？俺の好きな酒を教えてくれって何言ってんだ？どこまで配慮する気だよ……生きてるの面倒そうだな」
訊ねると、耳に痛いセリフを言われた。確かにそうかも、でもそっちの方が今まで生き易かったけど彼の最後の言葉と矛盾している。
結局、お酒は要らないと言われて何も買わずに出た。その店主に不可解な目をされたのは、あまり良いものじゃなかったけど。
「……別に良い。もしAから貰ったとて、俺がアイツにがたがた言われるのが目に見えている」
そんなこと言うのかなと思ったけど、心底イヤそうな表情をしながら言っているのでそんなことがあるのだろう。それでも良い物を見付けてプレゼントとして大収穫だから、感謝の意は伝えきれないのでトムにお礼を言った。
「あ、ああ……役立てたのなら良かった。アンタの頼みだ、無下にできない」
最初は呆けていたが、徐々に言葉を嚙みしめるように反応しだした。ちょっと変に感じたけど、これは心の中にしまい続けておこう。
良い友人を持てて、我ながら良い関係性を築けていると思える。良かったと安堵していると、自然と顔が緩んだ。今日は良いことがいっぱい感じられたが、やっぱりわたしって安い女だと思った。けどそれでも良いよね、幸福がいっぱい感じられるってことだし。
「……その顔もアイツに見せてんだよな……まあそうか」
何故か切なそうな顔をしており、言葉もまるで自分に言い聞かせるみたいだった。
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さとうみさん(プロフ) - ふくさん» コメントと感想ありがとうございます。どっちも倫理的に若干おかしな風に仕上げました。元から2人分のオチたお話を書こうと思っていたので、そう仰っていただけて嬉しい所存です。 (2023年4月22日 14時) (
レス) @page30 id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ふく(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！とても素敵な小説でした！私はトードくん推しなのでifストーリーがあるのはとても嬉しかったです！ (2023年4月22日 13時) (レス) @page29 id: 7394bcafd8 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 狂人(?)◆うごメモ民さん» コメントと感想ありがとうございます。今回はほのぼの回なので、比較的穏やかに仕上げました。神作だなんてとんでもない、わたくしの作品は自己満足の塊なので。後半につれて内容が少し人を選んできますので、注意しつつお付き合いいただけたら幸いです。 (2023年4月8日 18時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
狂人(?)◆うごメモ民(プロフ) - 今回も神作をありがとうございます!!お酒に酔ったTomが可愛すぎて尊死しそうです...w (2023年4月8日 16時) (レス) @page18 id: c323c8e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 熊井さん» コメントありがとうございます。熊井さんのお暇で気が向いた時に見ていただきたいので、全然気にしてないです！こちらも今だけ暇で、忙しくなったら書けなさそうでして……今回は犬猿の仲の2人をメインで、内容は人を選びますがお付き合いくださると幸いです。 (2023年3月21日 23時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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