カルミアとの寂れた想い出 ページ27
「薄々勘付いていたが、オマエか？ああ？」
「……ああ、そうだよ」
かなり怒っていると分かる口調で、トムに詰め寄る。雰囲気が雰囲気だけに、やや野次馬が集い始めた。彼らもそれに気付いたようで、別の場所に移動した。今度はトードの家の中で、入って大丈夫なのかと思った。だけど、トムが傍に居てくれたから何とかなっている。
周りが機械だらけで落ち着かないけど、トムがいるから頑張らなきゃ。わたしを追って来てくれたのなら嬉しい。
「オレの彼女に手を出すのは、どういうことか知ってんのか？」
「言い訳しないが、お前とAの関係がよっぽど歪だ。善意に付け込んでいたのはどいつだ」
「オレとの関係を拒まなかったから良いんでーす、倫理的におかしなことしている人に言われたくないでーす」
「お前が倫理を語るな、反吐が出る」
お互いに睨み合ったまま、平行線を辿る。それがわたしを挟んだ間近で行われているから、尚のこと気になって仕方が無い。でもトードに申し訳ない気持ちもあるから、無下にできない。
「君はあの目玉無し男が良いのか？彼氏のオレのこと毛嫌いしてるぞ？」
何度も何度も聞いてくるけど、気持ちは固まっている。だから頑なに頷く。だって、そこも含めて愛おしさを感じているから。だから自分より好きな人を否定されるのは、誰であって嫌な気持ちになる。
「そっか、あーあ……つっらあ……ひっどい話だよなあ……」
「受け入れたか？もうお前との関係を続行する気は無いと言っているようなものだろう」
「じゃあ聞くけどさ、オマエが好きな子に拒まれたらどんな気よ？立ち直れんのかよ？」
ぎろりとトムを睨むトード。明らかに怒気がまだ見えるようで、話は終わっていないと確信できる。
「嫌われたくなくて、優しくしてたのになあ……いっそのこと、君のことを連れ去ったらこんなことにならなかったんだろうな……」
ぶつぶつ言って、今度はわたしを抱き寄せてぎゅうと抱き締めた。驚いて顔がきょろきょろして、少しもじもじしてしまった。よく分からないけど、もう抱き締められても良い気はしない。何も感じられなかった。
「もう未練がましく縋りつくなよ！何も言わずにここに一人だけ連れて行くつもりだったんだろ？お前のことだから、どうせろくでもないやべーことなんだろ？」
少し怪訝そうな顔で、わたしたちに近付いて剥がそうとしている。それでも抱きしめたままで、力強くて剥がせなかった。
「オマエのせいだよ、何もかも……」
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さとうみさん(プロフ) - ふくさん» コメントと感想ありがとうございます。どっちも倫理的に若干おかしな風に仕上げました。元から2人分のオチたお話を書こうと思っていたので、そう仰っていただけて嬉しい所存です。 (2023年4月22日 14時) (
レス) @page30 id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ふく(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！とても素敵な小説でした！私はトードくん推しなのでifストーリーがあるのはとても嬉しかったです！ (2023年4月22日 13時) (レス) @page29 id: 7394bcafd8 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 狂人(?)◆うごメモ民さん» コメントと感想ありがとうございます。今回はほのぼの回なので、比較的穏やかに仕上げました。神作だなんてとんでもない、わたくしの作品は自己満足の塊なので。後半につれて内容が少し人を選んできますので、注意しつつお付き合いいただけたら幸いです。 (2023年4月8日 18時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
狂人(?)◆うごメモ民(プロフ) - 今回も神作をありがとうございます!!お酒に酔ったTomが可愛すぎて尊死しそうです...w (2023年4月8日 16時) (レス) @page18 id: c323c8e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 熊井さん» コメントありがとうございます。熊井さんのお暇で気が向いた時に見ていただきたいので、全然気にしてないです！こちらも今だけ暇で、忙しくなったら書けなさそうでして……今回は犬猿の仲の2人をメインで、内容は人を選びますがお付き合いくださると幸いです。 (2023年3月21日 23時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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