誰かとヘリコニアと不鮮明さ ページ3
トードと一緒に過ごすことが断然増え、今日もわたしの家に遊びに来た。別に恋人だから良いと思うけど、何で髪を梳かしてもらっているのか分からない。ぼさぼさの髪を見せつけてしまったのかと思ったけど、本人曰く「ボサボサでもないしさ、ただ触りたかったんだ。こーゆーのはイヤか？」とのこと。悪く無いけど、どうしてそんなことをする必要があるか分からない。ブラシの毛の一本一本で髪と髪の間を梳かし、ブラシの毛の流れが更に良くなっていく。元からちゃんと梳いていたけど、誰かにされるのはちょっと気恥ずかしい。
「綺麗な髪だよな。オレ、癖がある髪だし」
猫みたいな髪型だし、茶髪の毛先もやや四方八方に飛んでいる。だから癖毛っぽい。癖がある髪を持つ女性は、日々悩まされていそうだ。
「よし、終ーわりっ。お疲れさん、今の様子でも見るか？」
ブラシを髪から離されて、家に1つだけある手鏡を寄越される。髪がさっきより艶を放っているから変わっていないことはないけど、ぱっと見は全然分からない。
「ん？気に入らなかったか？難しいな……」
そこまでじゃないと言ってから、感謝も付け加えた。してもらったことには変わりないから。
手鏡を近場に置いてソファに座ると、トードが隣に座って来た。彼氏とは言えども、異性として見てない相手故にちょっと気まずい。顔を下げてそわそわしてしまうが、勘付かれない為になるべく言動に出ないように心がける。むこうはゆっくりわたしの手を握ったが無言だ。わたしも無言だから、とても静かな場所になった。
「そうだ、今度デートしねえか？Aが行きたい所を教えてくれ」
突然口を開いて、言葉を出した。その言葉に驚いてつられて顔を上げ、ゆっくり頷いた。もしかしたら、恋人として接する意識や機会ができるかもしれない。淡い期待に近いけど、嫌いじゃないからワンチャンス。
「良いのか？近場でも遠出でも、地球の裏でもどこでも一緒に行くぜ」
真剣に最後まで言い切って、ちょっと驚いた。地球の裏側は、南半球の緯度が高い場所で飛行機になる。そこまでのデートはしたいわけじゃないので、彼の行きたい場所も聞いてみる。
「え、オレの行きたい場所？……そうか、君って優しいな……あー嬉し、すっげえ嬉しい」
顔を赤らめて、最後は恍惚に呟くように言った。そこまで反応をされるとは思わなくて、少し驚いた。握る手の指どうしを絡められて離すことが困難になる。
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さとうみさん(プロフ) - ふくさん» コメントと感想ありがとうございます。どっちも倫理的に若干おかしな風に仕上げました。元から2人分のオチたお話を書こうと思っていたので、そう仰っていただけて嬉しい所存です。 (2023年4月22日 14時) (
レス) @page30 id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ふく(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！とても素敵な小説でした！私はトードくん推しなのでifストーリーがあるのはとても嬉しかったです！ (2023年4月22日 13時) (レス) @page29 id: 7394bcafd8 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 狂人(?)◆うごメモ民さん» コメントと感想ありがとうございます。今回はほのぼの回なので、比較的穏やかに仕上げました。神作だなんてとんでもない、わたくしの作品は自己満足の塊なので。後半につれて内容が少し人を選んできますので、注意しつつお付き合いいただけたら幸いです。 (2023年4月8日 18時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
狂人(?)◆うごメモ民(プロフ) - 今回も神作をありがとうございます!!お酒に酔ったTomが可愛すぎて尊死しそうです...w (2023年4月8日 16時) (レス) @page18 id: c323c8e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 熊井さん» コメントありがとうございます。熊井さんのお暇で気が向いた時に見ていただきたいので、全然気にしてないです！こちらも今だけ暇で、忙しくなったら書けなさそうでして……今回は犬猿の仲の2人をメインで、内容は人を選びますがお付き合いくださると幸いです。 (2023年3月21日 23時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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