片土地だけ咲いたアガパンサス ページ1
この土地に来て、半年が経った。そこで赤い服の青年と知り合って半年にもなる。つまり初日で会った。
今日も出会って、家の中に堂々と上がり込んだ。
「オレ、君が好きだから付き合いたいんだ」
その人であるトードがわたしを見てにこにこしているけど、言う内容に驚く。本当に突拍子もないから、何度もムダに瞬きしてしまった。
「そんなに驚く？信じらんないなら、Aが好きな所を言おうか？顔もそうだけどさ、話したら面白いところとか、見かけたら挨拶してくれるとか、リアクションが大なり小なりでも1つ1つが可愛いとか―――お、照れてやんの。かわいー」
わざわざ列挙していくわたしに向けた言葉たちに、徐々に恥ずかしくなって顔が熱くなっていた。顔を下げていると、前からからかうような声色で声をかけられる。
どうしたら良いのか分からなくて、口を閉ざしていた。視界の中に手が入ってきて、そのままほおに手が至る。そのまま顔を上げられて、間近に見えるトードがにこにこでこっちを見てた。
「オレは好きだけど、君はそうとは限らないじゃん？どう？オレは好き？」
何とか口を動かし、分からないと言った。そういう人は幼い頃に感じたものしかないから、久しぶり過ぎて困惑が強い。
「んーそっか、そっかあ……じゃ、オレを後でも好きになれば良いから付き合ってくれない？」
声は軽いのに、表情は真剣。顔は悪くない部類の人だし、誰かに告白されたのは初めてでちょっと気が昂っていた。今誰も好きじゃないから、了承しても罰は当たらないだろうと頷いた。
すると嬉しそうに瞳を閉ざして、口元を緩ませた。また笑顔に戻った。
「ありがと、じゃあよろしくな。A」
ほおに添えられていた手が、背中に回って彼の体が密着する。抱きしめられたと気付いたのは数秒後で、更に顔が熱くなった。
「初めて逢った時から、何となく気になってたんだ。今は比較したくない程に好きだぜ、こういうことしても怒らなくなるんだよなー」
臀部をゆるりと撫でられ、背筋がぞわっとする。体も跳ねて、恥ずかしさで覚束ない口調でトードに文句を言う。
するとケラケラ笑いながら体を離して、「ゴメンって、冗談冗談」と言ったけどそのように見えない。我ながらむすっとした顔をしていると思いながら、彼をじっと見つめてしまった。
「真っ赤にして不貞腐れた顔が初めてっつうことは、これから色んな初めての君が見れるんだよな。楽しみなんだぜ、これでも？」
頭を撫でられ、とても落ち着かない。
これからゆっくりだけど、トードのことが好きになれるのかな。
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さとうみさん(プロフ) - ふくさん» コメントと感想ありがとうございます。どっちも倫理的に若干おかしな風に仕上げました。元から2人分のオチたお話を書こうと思っていたので、そう仰っていただけて嬉しい所存です。 (2023年4月22日 14時) (
レス) @page30 id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
ふく(プロフ) - はじめまして！完結おめでとうございます！とても素敵な小説でした！私はトードくん推しなのでifストーリーがあるのはとても嬉しかったです！ (2023年4月22日 13時) (レス) @page29 id: 7394bcafd8 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 狂人(?)◆うごメモ民さん» コメントと感想ありがとうございます。今回はほのぼの回なので、比較的穏やかに仕上げました。神作だなんてとんでもない、わたくしの作品は自己満足の塊なので。後半につれて内容が少し人を選んできますので、注意しつつお付き合いいただけたら幸いです。 (2023年4月8日 18時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
狂人(?)◆うごメモ民(プロフ) - 今回も神作をありがとうございます!!お酒に酔ったTomが可愛すぎて尊死しそうです...w (2023年4月8日 16時) (レス) @page18 id: c323c8e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
さとうみさん(プロフ) - 熊井さん» コメントありがとうございます。熊井さんのお暇で気が向いた時に見ていただきたいので、全然気にしてないです！こちらも今だけ暇で、忙しくなったら書けなさそうでして……今回は犬猿の仲の2人をメインで、内容は人を選びますがお付き合いくださると幸いです。 (2023年3月21日 23時) (レス) id: aad9d9a6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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